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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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 「地元で話題になった記事をもう一度読みたいが、図書館に行ってバックナンバーを探すのが億劫」、「書店で売り切れていて買えなかった」という声に応え、昨年反響のあった記事をWEB上で公開することにしました。カテゴリー別に分かれており、下記のカテゴリーから選択して、興味のある記事をクリックすると全文が表示されます。

政治家

猪苗代町議会の痴態
 議員同士がケンカ騒ぎ

 猪苗代町の議員がケンカ騒ぎを起こしたのだという。6月下旬、常任委員会で視察研修に行き、その夜に酒が入った状態で、議員同士がケンカをしたようだ。町民からは「議員は一体何をやっているんだ」といった声が上がる一方、町内の有力者からは「このところ、議員は気持ちが緩んでいるように感じる」といった声が聞かれた。

 猪苗代町議会総務常任委員会は6月28日から30日の日程で、滋賀県・京都府で視察研修を行った。参加者は同委員会に所属する金本久美子議員(委員長)、細貝功人議員(副委員長)、滝田勝昭議員、長澤操議員、佐藤光幸議員と、大嶋善一議会事務局長の計6人。

 行程は別表の通りで、初日は滋賀県高島市、2日目は京都府綾部市で「定住化促進の取り組みについて」という目的で視察を行い、3日目は京都市で地域活性化施設の視察を行った。

 なお、ほかの議員は、それぞれ所属する常任委員会で、違った目的・場所で視察研修を行っていた。

 総務委員会の視察研修で、事件が起きたのは2日目の夜だという。

 「どうやら、2日目の研修後の夕食の際、お酒が入った状態で、議員同士がケンカをしたようです。きっかけはよく分からないが、ケンカに絡んだのは細貝功人議員、滝田勝昭議員、長澤操議員の3人で、このことは町内の一部でウワサになっています」(ある町民)

 この町民によると、「かなり派手にやりあったらしい」とのことで、「議員が研修に行って、ケンカ騒ぎを起こすなんて、一体何をやっているのか」と呆れた様子で話した。

 こう聞くと、町民が呆れるのももっともだが、ここで1つ疑問が浮かぶ。ケンカ騒ぎは視察先の京都でのこと。近場であれば、たまたまそれを町民が見ており、ウワサが広まったということもあろうが、京都での出来事を目撃した人がいるとは考えにくい。

 つまり、その場にいた誰かが口外しなければ、町内でウワサになることはないはず。とはいえ、こうした騒動は、議員にとっては「恥」だからなるべく知られたくないと考えるのが普通だが……。

 ある関係者は次のように話す。

 「どうやら、その場にいた議員の間では、『内々で収める話』だったようです。ところが、金本議員が地区の運動会の反省会で、ポロッと町民に話してしまったようなのです」

 一方、本誌取材の中では「関係した議員の1人が『(ケンカした相手が)生意気だから、とっちめてやった』などと自慢気に話していたらしい」といった話も伝わっている。

 さらにはこんな話も。

 「細貝議員は研修から帰ってすぐ、ある会合に参加したが、明らかに何かあったと思われるような顔(の傷)だったそうです。当然、『どうしたの?』という話になったが、細貝議員は『タクシーから降りる際、転んで垣根に突っ込んだ』と説明したという。その説明を聞いた人が納得したかどうかは分からないが、不審に思ったんじゃないですかね」(前出の関係者)

 最後の証言は、ケンカ騒ぎと関係しているかは分からないが、ともかくこうして本来は「総務委員会所属の議員と議会事務局長しか知らないはずの話」が、一部町民に知れ渡ったわけ。

 この件は、長沼一夫議長も「知らなかった。後で、ある人から教えられて知った」という。その後、長沼議長が金本議員(委員長)を呼び出し、事情説明を求める一幕もあったようだ。総務委員会所属でない議員(ケンカ騒ぎの現場にいなかった議員)は次のように話す。

 「まず、議員がそういう騒ぎを起こしたことが問題です。しかも、(議長など)報告すべき人に報告せず、町民に話すとはどういう了見なのか。いずれにしても、町民に知れ渡った以上、始末書を出させるとか、相応の対応が必要だと思います」

 さらに、この議員はこうも話した。

 「滝田議員は3日目の日程を残し、その日の朝に帰ってきたそうです。一体、研修を何だと思っているのか」

 この話とケンカ騒ぎが関係しているのかは不明だが、「研修に行って、その予定をこなさずに帰ってくるとは何事か」というわけ。

 その点については、議会事務局に確認したところ、「3日目は自主研修という形で、確かに滝田議員は先に帰りましたが、(2日目までの)公務はきちんとこなしています。実は、同日は台風が近付いていた関係で、帰れなくなるかもしれないということで、ほかの議員も予定を切り上げて帰ってきました」と説明した。

関係者を直撃

ケンカに絡んだとされる議員
(左から滝田議員、細貝議員、長澤議員=議会のHPより)

 本誌はケンカに関わったとされる3人のうち、長澤議員と滝田議員に話を聞いた。なお、細貝議員は何度か電話で取材を試みたが、コメントを得ることはできなかった。

 「お酒が入ったうえでの『議論』ですから。殴りあったとか、そんな話ではありません」(長澤議員)

 「長澤議員が他を貶めるような発言をしたため、『そういうのはやめましょう』と言った記憶があります。その後、口論になり、侮辱的なことを言われたと記憶していますが、お酒も入っていたことですし……。かなり派手にやりあったと聞いているって?そこまでは……」(滝田議員)

 「細貝議員は明らかに何かあったと思えるくらい、顔に傷があったと聞いているが」とも尋ねてみたが、滝田議員は「(視察先で)タクシーから私が先に降りて待っていたが、すぐ後に来るはずの細貝議員がなかなか来なかった。どうしたのかなと思ったら、転んで敷地周りに植えられた木に突っ込み、その時にケガをしたようです」と話した。

 細貝議員の顔の傷については、本当に転んだのが原因なのか、それとも「そういうことにした」のかはともかく、先の関係者の話と一致している。

 滝田議員に、「3日目の朝に帰ってきたそうだが」とも聞いてみたが、「予定があったため、同日の朝に先に帰った」と話した。

 議会事務局の説明では、「3日目は自主研修で、公務はきちんとこなしている」とのことだったが、前述した行程表では、3日間の日程となっていることからも、やはり先に帰ったというのは違和感が残る。

 ともかく、きっかけは判然としないが、お酒が入った状態で、議員同士で「何か」があったのは間違いないようだ。

 前出の議員は「議員がそういう騒ぎを起こしたのは問題だ」と語ったが、確かに、殴るなどの行為はもちろん、そこまででなくても暴行に当たる可能性があるわけだから、どんな状況であれ、議員がそういった騒ぎを起こしたとなれば、町民に示しが付かない。

 一方で、関係者の間では「その場で収めることにしたのであれば、それを貫かなければならなかった。そうでなければ、議長に報告して相応の対応をすべきだった。それ以外はあり得ない」との声もある。

 ところが、そのどちらでもなく、現場にいた議員が一部町民に漏らしてしまった。結果、①公職の立場でケンカ騒ぎを起こしたこと、②きちんと対応せず、身内の恥を議員自らが漏らしたこと――の2点が一部関係者の間で問題視されているわけ。

もう1つの問題

猪苗代町役場

 ところで、この問題に関する取材を進める中、前出の議員から、こんな話を聞かされた。

 「9月議会中、一部議員の勉強会が行われた。その際、役場の企画財務課長と係長を出席させ、勤務時間中にもかかわらず、1時間以上にわたって説明(質問対応)などをさせたというのです。本来なら、議員側は議長を通して、『こういう勉強会をするので、担当課長に出席してほしい』と要請し、職員側は町長に『こういう依頼があったが、出席しても構わないか』とうかがいをたて、町長からOKが出たら出席するというのが正式な手続きのはず。そうでなければ、議員は私的な勉強会で職員を拘束したことになり、職員は職務を放棄したことになります」

 9月議会は決算の審議がメーンとなり、開会日の9月6日に関連議案が上程され、翌7日と8日は議案調査のため、休会となっていた。前出の議員が言う「一部議員の勉強会」はこの休会日を利用して行われたようだ。

 出席したのは星野あけみ議員、滝田議員、細貝議員、渡辺二公議員、五十嵐ミエ子議員、関沢和人議員のほか、佐瀬真議員も少しだけ顔を出したという。

 そこに、役場の企画財務課長、係長を出席させたわけだが、前出の議員は「きちんとした手続きを踏んでおらず、私的な勉強会に職員を拘束し、職員は職務を放棄したことになる」と指摘したわけ。

 この点について、前後公町長に確認したところ、「(職員が議員の私的な勉強会に出席したことは)知らなかった」という。後で、そのことを知らされため、勉強会に出席した職員に対して「勤務時間中のそういった行為(議員の私的な勉強会への出席)は職務放棄に当たる」として、課長会議で口頭注意したことを明かした。

 ある関係者は次のように話す。

 「勉強会は役場庁舎内で行われたため、そこに職員を呼び、説明・質問対応させることを何でもないと思っていたのでしょう。ただ、『議員の私的な集まりに、勤務時間中の職員を出席させ、1時間以上も拘束するのはおかしい』、『職員は職務を放棄したことになる』といった指摘はもっともだと思います。勉強会に参加した議員の中には、議長経験者(関沢議員)もいるし、役場の課長経験者(滝田議員)もいる。にもかかわらず、そういうことに頭が回らないのが問題だと思います」

 こうした一連の指摘について、町内の有力者は次のように話した。

 「今年2月に議員選挙が行われ、その前後は議員にも緊張感があったが、選挙から半年余が経ち、全体的に議員の気持ちが緩んでいるのではないかと感じます。その結果が、今回指摘されているような問題になって表れているのだと感じます」

 今回の2つの件は、この言葉に集約されているように感じる。これを機にもう一度気持ちを引き締め、職責を果たすよう求めたい。