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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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■合併しない自治体が問われるもの(十六年十一月号)
 
 飯舘村長選が行われ、合併反対派の菅野典雄氏が合併推進派の山田猛史氏を破って三選された。得票は菅野氏二七五五票(得票率五四・五%)、山田氏二三〇四票(同四五・五%)、菅野氏が圧倒的に支持されたわけではない。飯舘村は昨年十二月、合併の是非を問う住民投票を行い、反対が賛成を上回ったものの、判断目安とした有効投票の六割に達しなかった。今年一月、菅野村長は「地域特性を生かした分権分散型の合併」などの条件付で南相馬合併協議会への参加を決め、村議会が僅差で議決した。ところが、九月定例議会で菅野村長は合併協議会からの離脱を表明し、村議会が僅差で否決した経緯がある。

 飯舘村は相馬郡の西部に位置し、村民は相馬弁を使い、原町市内の病院や学校などに通っている。相馬への帰属意識はあるものの、五四%の人が「人口八万人のひばり野市が発足したら旧飯舘村は辺境になり、アイデンティティが失われる」と危惧している。一方、四五%の人が「これといった産業がないから、合併もやむを得ない」と考えている。どこに力点を置くかで非合併・合併の判断は分かれるが、厳しい現状認識について大きな隔たりはない。

 そもそも市町村合併は財政力の弱い自治体の救済が目的で、中核となる自治体は吸収される自治体の住民の不安を解消する義務と責任がある。にもかかわらず、「貧乏な自治体と合併するのは損」「小さな自治体が大きな自治体に従うのは当然」といった横柄な態度の首長がいる。こんな首長の下では合併したくなくなる。

 合併特例法の期限切れ(十七年三月)を目前に控え、「当面、合併しないでやっていく」とする自治体が増えている。議論して出した結論だから尊重すべきだとは思うが、将来の財政見通しを明らかにした自治体は一つもない。地方分権が是なら、北塩原村のように固定資産評価を独自に行うのは自由で、部外者の県や国があれこれ注文を付けるべきでない(もちろん、村民はイエス・ノーの意思表示ができる)。住民税などを大幅に引き下げ、福祉を重視するのも大いに結構。しかし、財政難に陥ったとき、職員の人件費をまず確保し、残った予算で役所機能を維持するやり方は許されないから、「特別職や職員の報酬・給与を半分に引き下げてでも、住民サービスの質は落とさない」と宣言すべきだ。

 好き勝手なことをした挙げ句、「町・村としてやっていけない」といっても理解は得られない。合併しないことを決めたなら、住民に緻密な財政見通しを示さなければならない。(奥平)

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