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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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■無職者の逆襲(十七年三月号)

 一月号の巻頭言で「一〇〇〇万人といわれるフリーター・失業者・ニートの存在が不安定社会の要因になる」と書いた。それを裏付けるように、不気味な事件が起きている。

 愛知県安城市のスーパーの男児刺殺事件(二月四日)。犯人は福島県出身の男(三四歳)で、県立高校を中退したあと転職を繰り返し、刑務所を出たばかりという。大阪府寝屋川市の小学校の教職員刺殺傷事件(二月十四日)。犯人は同市内の無職少年(一七歳)で、高校に進学しなかったという。事件の詳しい背景は分からないが、社会のありように絶望し、自ら破滅の道を選んだと見てよいのではないか。被害者が気の毒でならない。

 福島県出身の男は若いとき両親を亡くし、無職少年は小学校の時いじめに遭い、中学校は不登校のまま卒業した。「それがトラウマになった」という見方もあるが、犯罪の決定的な動機とはいえない。不幸と幸福の感じ方はそれぞれと異なるし、同じような環境で育っても罪を犯さない人が圧倒的に多いからだ。注目すべきことは、社会が彼らにどのように映っているかだ。

  独身女性の間で「負け組」「勝ち組」が話題になっているが、それは一般社会にも当てはまる。「勝ち組」は一流企業の社員や公務員など、「負け組」は年収三〇〇万円以下の中小零細企業の社員や三Kの労働者など。失業者やニートなど無職者は「負け組」以下の存在となっている。

  福島市内では、児童がすれ違いざまに殴られる事件が起きた(二月十五日)。児童が若い男に「おはようございます」とあいさつしたら、いきなり「うるせえ」といわれ、こぶしで数回殴られたという。この男は有職者と見られるが、国民全体のイライラを象徴するような事件である。相次ぐ不審火や集団自殺も不気味だ。

  行き着く先は、警察官が街頭にあふれ、警備員が学校などに常駐し、監視カメラがあちこちに設置される、高コストで窮屈な社会である。それを避けたいなら、財政難でも社会保障制度を維持し、無職者の就労を促すしかない。北欧は「失業は社会的損失」と捉え、一人ひとり実践的な職業教育を行い、就労を支援している。日本にも同様の制度はあるが、無能役人の巣窟になっており、実務的でない。

  もう一つ大事なのは、無職者が「絶望しない」社会づくりと、「敗者復活」が可能な社会システムづくりである。言うは易しいが、その実現は想像以上に難しい。(奥平)

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