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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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■国民を大切にしない日本(十七年四月号)

 信者の脱会支援や犇中浮揚瓩亮鑢世しをしたため、94年にオウム真理教からサリン攻撃を受けた滝本太郎弁護士は、朝日新聞(三月十七日付)の投稿欄「私の視点」で次のように述べている。

 《(主流・分派グループは現在も危険な存在で)加えて、被害者への救済もなっていない。
 地下鉄サリン事件の被害者らは95年に、名前と住所を提示し、多額の予納金まで用意して、宗教法人オウム真理教の破産を申請した。国は被害者救済のため、オウムから被害者への配当を少しでも進ませるための法整備をしてきたが、これも被害者らの多大な努力で実現したものだった。教団から被害者に対してなされた配当は、本来支払われるべき額の三〇・六七%にとどまっている。もちろん、仮に補償としての金銭を得られたとしても、奪われた命は戻らず、被害者の健康は容易に回復しない。
 一連のオウム事件は、日本国の支配を目指したテロだった。政府がその事件の被害者を救済しない事実は、まったく理解に苦しむ。真に「テロと闘う」と言うのなら、9・11テロ事件の際に米国政府が被害者救済に尽くしたのと同様の努力を、日本政府が示してよいはずだ》

 政府の不可解な対応はサリン被害者に限らない。拉致被害者に対して五年間、生活費(単身世帯一七万円、二人世帯二四万円、三世帯二七万円)を給付することになっているが、そもそも国(自衛隊・海上保安庁・警察)が無防備だったから拉致されたのである。したがって、関係者を処分するとともに、拉致被害者に多額の慰謝料を払うべきで、恩恵的な給付で済む問題ではない。

 さかのぼれば、薬害や公害も、国が「因果関係がはっきりしない」といって規制に消極的だったため被害を大きくした。その後、被害者の努力で因果関係が明らかになっても、国は企業の責任を厳しく問わず、不作為の責任を認めようとしない。戦前にさかのぼれば、兵士のひどい扱いや無謀な作戦、銃後の無防備なども国民を大切にしない現われだ。

 最近、国や地方自治体が「失業者・無職者・ニート対策」を口にするようになっている。しかし、社会的損失のカバーというより、社会福祉的なニュアンスに近い。それが分かっているから、彼らは真剣に受け止めない。
日本は「勝ち組」と「負け組」がはっきりした社会になりつつある。仕方のない面もあるが、「負け組」でも堂々と生きられる「国民を大切にする国」でありたい。(奥平)

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