ホーム
バックナンバー
ウェブ連載「巻頭言」
ウェブアーカイブ New
政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
ご挨拶/会社概要
株式会社東邦出版
福島県福島市南矢野目鼓原1-2
TEL:024-554-6101(代表)
FAX:024-554-6103
Email:info@seikeitohoku.com

麻生太郎外相のこと(18年3月号)

 2月上旬、麻生太郎外相は講演で「日本は台湾を植民地支配した際、教育に力を入れた。おかげで教育水準が高くなり、今日の経済的な繁栄がある」と述べた。麻生外相は自民党政調会長だった3年前、朝鮮の人々が「創氏改名」を望んでいたかのような発言をして猛反発を招いたことがある。

 日本は遅れて世界に進出し、しかも日本(人)的なものを強要するなど植民地政策が稚拙だったのは否めない。しかし、イギリスのように上手だろうが、日本のように下手だろうが、植民地支配するための諸政策を「住民のためだった」と言うことはできない。台湾の場合、中国本土から国民党軍がやってきて台湾人を過酷に扱ったから猗親瓩表面化しないだけで、植民地支配の事実は動かない。台湾の人々が日本人農業技術者などの功績を忘れないで称えてくれるのはうれしいが、それとこれとは話が違う。

 麻生外相はまた、在上海総領事館員が自殺した問題で、中国の責任を徹底的に追及するという。しかし、佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長の説明によると04年5月のことで、2年近く過ぎてからあれこれ言っても始まらない。そもそも自殺した職員は中国の公安機関(ないし諜報機関)に犲紊澂瓩魄られて裏切りを強要され、進退窮まって自殺したと言われる。それに気付かなかった外務省・在上海総領事館の失態は度し難い。他の先進国ならすぐ帰国させ、機密がどれだけ流出したかを調査するはず。中国が諜報活動を行うのは当然のことで、日本も遅れを取るべきでない。麻生外相の中国追及は「(非合法の)諜報活動をやってはならない」というもので、ちょっと信じられない。一方、アメリカには極めて寛容で、外交機密はないに等しい。この問題は別稿に譲るとして、中国と同様、アメリカの動きにも敏感であるべきだ。

 小泉首相の靖国神社参拝も、麻生外相の対応と変わらない。中国と韓国の主張が理解できないのではなく、国内事情を優先し、同時にアメリカ支配から抜け出せない中で、民族的アイデンティティを強調して見せているに過ぎない。

 しかし、アメリカの一極支配はしばらく続くとしても、いつかは崩壊する。また、中国は最大の貿易相手国で、アメリカに次ぐ重要国。しかも核兵器を所有し、国連の常任理事国でもある。だから「言いなりになれ」というのではなく、わざわざケンカを売ることはない。偏狭なナショナリズムを弄ぶと米中が結託し、アメリカ・中国だけでなく、世界各国からそっぽ向かれる。

(奥平)

巻頭言一覧に戻る