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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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1日当たり1400円の生活(18年4月号)

 福島市営住宅の家賃を滞納し、立ち退き処分を受けた無職男性(64)が2月初め、福島市下飯坂の農作業小屋で亡くなっていたことが分かった。

 《福島北署の調べでは、死因は凍死で、死後数日が経過していた。市によると、男性は98年7月から市営住宅で1人暮らしを始めたが、次第に家賃が滞り、03年10月から何度も文書で納入を要請、同年12月に明け渡しを予告した。05年2月に「条件付き明け渡し請求書」を出したが返答がなく、保証人2人の同意を得て福島簡裁に提訴して勝訴。昨年12月8日に明け渡しが強制執行された。男性は市内で家族と暮らす予定だったが、実際は同居していなかった。男性は年額約89万円の年金暮らしで、滞納額は19万5700円(21カ月分)だった。市は「本人や家族からの相談はなかった」として、男性に施設入所や入院、生活保護受給などのアドバイスは行っていなかった》(福島民友3月11日付)

 福島民報は翌12日付で報道したが、朝日・毎日・読売の県版は取り上げなかった。

 市建設部によると、男性の家賃月額は15年度4400円、16年度1万3300円。4倍にアップしたのは所得を申告しなかったからだという。公共料金月額は、上下水道代8843円(基本料金+最少水量料金)、電気代2223円(20アンペア・100銑瓢)、ガス代1460円(10立方叩法灯油代6570円(18函5本)、計1万9096円。

収入は月額7万4167円だから、家賃(1万3300円)と公共料金(1万9096円)などを差し引くと4万1771円、1日当たり1400円しか残らない。これでは憲法が保障する「文化的で最低限度の生活」も難しい。ちなみに、60歳代の独身男性の生活保護費は、生活費7万2370円、冬季加算(燃料代)1万0520円、住宅費3万1000円未満。男性は手続きをすれば、燃料代と住宅費の扶助を受けられたはず。

市建設部が滞納者に立ち退きを求めるのは間違っていない。ただ、所得を申告しないと家賃が大幅に上がることや、福祉関係職員を伴って扶助制度があることなどを本人に直接伝えなかったのは悔やまれる。男性が担当者に「家族と暮らす」と言ったのは弱みを見せたくなかったから。結局、生きる気力を失い、死を選んだのだろう。

今回の凍死といい、孤独死といい、21世紀の出来事とは思えない。住民の生活に密着した地方公務員こそ、「忙しくて時間がない」などと言わないで、恵まれない人々の力になってほしい。

(奥平)

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