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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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将来は自分の掌中にある(18年7月号)

 《その数、なんと1900万人!「第2次ベビーブーマー」「団塊ジュニア」と称される一群を含む70年代生まれ。いま20代後半から30代前半の彼らは、ひそかに「貧乏クジ世代」とも椰楡される。物心ついたらバブル景気でお祭り騒ぎ。「私も頑張れば幸せになれる」と熾烈な受験戦争を勝ち抜いてきたが、世は平成不況で就職氷河期。内向き、悲観的、無気力……犲分探し瓩砲海世錣蠅覆ら、ありのままの自分を好きになれない。「下流社会」「希望格差社会」を不安に生きる彼らを待つのは、「幸運格差社会」なのか?》(精神科医の香山リカ著『貧乏くじ世代―この時代に生まれて損した!?』の紹介文)

 香山さんは若者を元気づけたいのだろうが、誤解されそうな気がする。ニートやフリーターに詳しい玄田有史東大教授も若者に同情的だ。若者の雰囲気を的確にとらえているとしても、歴史的な視点がないことを指摘しないわけにはいかない。

 戦前、国民の多くは貧農で、そこから放り出された人々は職人や工場労働者になるほかなかった。一生懸命働いても生活するのがやっとで、子どもに高等教育を受けさせるのは難しかった。また、徴兵制が敷かれ、若者は否応なしに戦場に追いやられた。彼らが「貧乏クジを引いた」と言うなら、黙ってうなずくほかない。

 戦後も混乱が続き、貧農は原野を開拓し、公務員やサラリーマンは耐乏生活を強いられた。落ち着きを取り戻したのは昭和30年代になってからで、わずか50年前のこと。当時、家庭で自動車を所有することは考えられず、外国旅行など夢のまた夢だった。

 ひるがえって今日の若者。「引きこもり」とか「自分探し」とか、頑張らない理由を並べ立てるのは聞いていられない。社会格差は戦前の方がはるかに大きく、現在はないに等しい。

 ちょっと努力すれば国公立大学に進むことができるし、ビジネスチャンスもないわけではない。外国語は「駅前」で学べるし、小遣い程度で外国へも行ける。実現可能な範囲は、戦前の人々や団塊世代より比較にならないほど広い。やろうと思えば何でもできるのだ。自分の将来は自分の掌中にあると言ってよい。ウジウジしていないで、なぜ恵まれた環境を生かそうとしないのか。

 「社会がよくない」―「家庭(個人)がよくない」の論争は、どの時代にもある。本当は両方よくないのだが、互いの非をあげつらっても個人を取り巻く状況は少しも変わらない。最も大事なのは、期限付きの人生をいかに全うするかだ。

(奥平)

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