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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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安倍晋三首相の課題(2006年10月号)

 安倍氏は52歳。戦後最年少、初の戦後生まれの首相となる。よく知られているように、父は安倍晋太郎元外相、父方の祖父は安倍寛元衆院議員、母方の祖父は岸信介元首相。いわゆる3世議員。自民党総裁選で争った麻生太郎外相は5世議員、谷垣禎一財務相は2世議員だから、国会では特別な存在でないのかもしれない。

 谷垣氏の政策は全般的に分かりやすかったが、公務員の待遇引き下げなど歳出削減に言及しないで消費税のアップを主張したのは不可解だった。それ以上に致命的だったのは『週刊文春』が報じた中国でのスキャンダルだった。これですっかり保守本流から見放された。安倍氏の著書『美しい国へ』が文藝春秋社から出版されたのもうなづける。

 麻生氏は個性を出そうと、ちょっと変わったもの言いをしたものの、理解できる範囲だった。分かりにくかったのは安倍氏で、抽象的な表現に終始した。当選・首相就任が確実だから慎重を期したのだろうが、もの足りなさを感じた。

 安倍氏は熱心な憲法改正論者だという。憲法が現実と乖離している面があるのは否めないが、改正することによって戦後61年の間に堆積した猊薛瓩良分を一掃できるとは思えない。もっと心配なのは自衛隊の最高司令官として、安心して軍事を任せられるほど世界の趨勢を見抜く洞察力や外交力があるように見えないことである。

 戦争と敗戦を経験した戦前派には「国の進路を誤ってはいけない」という強烈な意識と緊張感があった。例えば、後藤田正晴氏のような政治家である。戦中派の安倍晋太郎氏は毎日新聞のリベラルな記者で、右派の原理主義者ではなかった。政界に入ってからもごり押しせず、あだ名は「プリンスメロン」。その犂鼎記瓩災いして自民党総裁選で割を食い、病気で亡くなった。戦後派の安倍氏が信頼に足る首相かどうか、これから毎日試される。

 もうひとつ指摘したいのは、国の債務が限界に達していることである。18年3月末の国債及び借入金残高は827兆円、この1年で46兆円も増えている。これに歯止めをかけなければ、これまでの努力がムダになる。小泉内閣が金融不安を解消し、デフレ脱却の足がかりをつくった功績は認めるものの、財政状況は橋本内閣時代よりはるかに悪化している。

 政治的な主張は猴靴哭瓩里茲Δ覆發里如∈垢掲った課題を解決する力にならない。政治はもともと必要悪で、あまり目立たないのがベスト。そういう政治を期待したい。

(奥平)

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