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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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少子化を考える(2006年11月号)

 昨年、日本の総人口が減少に転じた。生産年齢人口(15〜65歳)が減少に転じたのは10年前の95年で、今後、総人口の減少率を上回る見込み。それは、若年勤労者より中高年勤労者が多くなることを意味する。生産年齢人口の減少率に反比例する形で生産力がアップすれば勤労者の生活水準は下がらないとされるが、本当にそうだろうか。

 経験的に分かるように、人口が減れば需要が減少する。団塊世代は同年生まれが二百数十万人いるが、現在は百数十万人で、100万人も少ない。各世代向けの商品生産が半分程度で済むだけでなく、保育所・幼稚園・小中高・専門学校・大学の入所(園・学)者が減るし、結婚式場や家電・家具・住宅などあらゆる需要が消滅する。

 日本の総人口が減少したのは今回が初めてではなく、江戸時代の中期と後期(幕末)にも経験している。新田開発や殖産興業が一段落し、それ以上の人口を養えなかったからで、間引きや姥捨てが横行し、百姓一揆が頻発した。

 現在、食べ物に困るようなことはないが、若い夫婦が安心して子どもを生める環境下にあるとは言い難い。かつて親は仕事が忙しく、子どもに手間をかけなかった。それでも成人し、自立した。それが普通だった。出産のリスクは現在より大きかったものの、子育ての負担が少なかったから子どもをたくさん生むことができた。後進国の子だくさんが、それを証明している。

 周囲が貧しければ貧しさは気にならない。しかし、幼いときから物に恵まれ、甘いホームドラマを見て育った若者は、フィクションと現実を混同し、他人が所有しているものを自分も所有しないと気が済まない。それを基本に、損か得かを考える。

 生活水準を下げないため親と同居する。異性に関心はあるが、口説いたりデートしたりするのは面倒臭い。結婚して妻子を扶養するのはまっぴらで、働いて得た収入は自分で全部使いたい。子どもにはできるだけ金をかけたくない。そうこうしているうち婚期を逸し、中高年を迎える。

 貧しい均質社会は出生率を上げるが、豊かな均質社会は逆に出生率を下げる。子育て支援策によって出生率は多少上がるだろうが、2.0を超えることはない。やはり、「人間は如何に生きるべきか」という問いの中から答えを見つけなければならないのではないか。それは教育の問題でもあるが、社会的格差が固定化すれば自暴自棄的な犯罪など、いまより面倒な問題が多発するだろう。

(奥平)

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