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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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幸せだが不幸せ(2007年6月号)

  日本青少年研究所(東京)が行った日・米・中・韓4カ国の高校生の意識調査によると、「偉くなりたいか」の質問に、「強くそう思う」と答えた割合は、中国34%、韓国23%、米国22%、日本8%だった。また、「暮らしていける収入があればのんびり暮らしたい」と答えた割合は、米・中・韓3カ国が14〜22%だったのに対し、日本が43%だった。日本の高校生は責任が重くなる出世を嫌い、そこそこの収入でのんびり暮らしたいと思っているようだ。

自活するにせよ、だれかに寄生するにせよ、それほど努力しなくても暮らしていけるのは幸せだ。一方で、アフリカやアジアには義務教育さえ満足に受けられない子どもがたくさんいる。われわれの目には幸せそうに見えないが、「早く一人前になって親孝行したい」などという。高等教育を受けるチャンスは少ないから、その境遇から這い上がるのは容易でないに違いない。

 「衣食足りて礼節を知る」という言葉がある。生活が安定すれば礼儀・節度をわきまえるという意味だが、日本の現実は全く逆で、「衣食足りて礼節を忘れる」だ。犯罪を取り締まる警察官が強盗に入り、子どもたちに礼節を教える教員が猥褻行為を働き、公務員の業務上横領や飲酒運転は珍しくない。仕事と退職金、そして名誉を失うことを恐れていないように見える。

 福島市内の高校生のタクシー強盗には驚いたが、今度の会津若松市内の高校生の母親殺しには言葉もない。気味が悪いのは、動機のない(あるいは薄弱な)殺人が増えていることである。病んでいるのは確かだろうが、病気と言えるかどうか。

 平和で豊かな時代が続くと命と食の心配がなくなり、精神がゆるむのだろう。そうした中で、刺激的な情報が妄想を肥大化させ、現実と非現実の境界を見失っているような気がする。幸せだが不幸せでもある。

 われわれの世代はそうでなかった。親が忙しくてかまってくれなかったせいもあるが、自分が主体的に動かなければ何事も始まらなかったから、引きこもりやニートはいなかった。もちろん勉強が得意でない子どもはいたが、卑屈でなかった。とはいえ、高齢者の犯罪が増えているから胸を張れない。

 おそらく困難に直面しないと、「ゆるんだもの」は改まらない。アメリカと中国の経済、日本の財政赤字(さらには大規模な自然災害)が臨界点に達しているから、遠くない将来に社会は激変するだろう。見たいような見たくないような。

(奥平)

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