ホーム
バックナンバー
ウェブ連載「巻頭言」
ウェブアーカイブ New
政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
ご挨拶/会社概要
株式会社東邦出版
福島県福島市南矢野目鼓原1-2
TEL:024-554-6101(代表)
FAX:024-554-6103
Email:info@seikeitohoku.com

中高年犯罪の意味するもの(2007年7月号)

 6月4日午前0時10分ごろ、包丁を持ってコンビニエンスストア(郡山市富久山町)に押し入り、現金7万円を奪って逃走した事件が起きた。11日後、郡山北署に強盗の疑いで逮捕されたのは、近くに住むパート従業員Y容疑者(58歳)だった。

 警察の取り調べに対し、Y容疑者は今年5月、連続して発生したコンビニエンスストア強盗事件(同市大槻町)、セルフガソリンスタンド強盗未遂事件(同市久留米)にも関与したことを認める供述をしているという。《競馬や競輪などのギャンブルで2000万円以上の借金を抱えており、借金苦を理由に犯行に及んだとみられる》(福島民友6月16日付)

 わずか数万円のため何回も強盗を働くなんて、信じられない。福島民友はパート従業員になる前の仕事に触れていないが、おそらく普通のサラリーマンだったはず。パート従業員に銀行やサラ金が2000万円も貸すはずがないからだ。家族はギャンブル・借金漬けに呆れ、見放したのかもしれない。

 昨年4月、勤務先の福島銀行郡山支店の金庫から62回にわたって1億6000万円を横領したT被告も当時58歳、契約社員だった。周知のように同行は不良債権処理の過程で経営危機に陥り、給与3割カット、賞与ゼロなど厳しいリストラを実施した。その余波で、些細な理由で早期退職を迫られた中高年の行員もいる。T被告は契約社員として残れたものの、年収は半減したものとみられる。犯行時、住宅ローンや子育てが終わっていないことは十分考えられるから、横領は会社への反逆だったのは明らか。「すべてギャンブルに使った」というのは嘘で、懲役を覚悟して隠し持っているのではないかと筆者は疑っている。

 団塊世代に属する2人は、どのようなことを考えて生きてきたのだろうか。子どもや妻(元妻)は、犯罪の抑止力にならなかったのだろうか。

 人生に浮き沈みは付きもの。個性が顕著に表れるのはピンチを迎えた時で、根本的な解決を先送りしていると状況がさらに悪化する。銀行やサラ金に返済するため罪を犯すのは最悪。見栄を捨て、ギブアップしたらいいじゃないか。それが分からないなんて、どうかしている。

 最近、普通の市民による保険金目当ての殺人など凶悪な犯罪が増えている。露見したら「人の噂も75日」を決め込み、悪びれない。「小さな挫折が犯罪を誘発させる」というなら、日本は犯罪列島と化す。マスコミが連日、犯罪を報道するので、われわれの感覚が鈍感になっているのは否めない。

(奥平)

巻頭言一覧に戻る