ホーム
バックナンバー
ウェブ連載「巻頭言」
ウェブアーカイブ New
政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
ご挨拶/会社概要
株式会社東邦出版
福島県福島市南矢野目鼓原1-2
TEL:024-554-6101(代表)
FAX:024-554-6103
Email:info@seikeitohoku.com

恥も外聞もない(2007年9月号)

 外務省の資料によると、日本の05年の国民総所得は約5兆ドル、1人当たりの国民総所得は約4万ドル。前者はアメリカに次いで第2位、後者はルクセンブルク、ノルウェー、スイス、デンマーク、アイスランド、アメリカ、スウェーデン、アイルランドに次いで第9位。4万ドルは1ドル115円として460万円。

本来なら、国全体がもっと豊かでよいのに、国も地方自治体も借金で首が回らないとか、生活保護世帯が100万世帯を超えたとか、懸命に働いても生活保護水準以下の「ワーキングプア」が増えているとか、暗い話が多い。数字はデタラメでないから、国の施策に大きなミスがあったことになる。

真っ先に考えられるのは為替のマジック。周知のように、変動相場制になる前は1ドル360円だった。4万ドルだと1440万円だから、これなら豊かさを実感できる。おそらく、ドルの購買力は多少下がっても二分の一以下ではないはずだ。

もうひとつは、富の再分配が不十分だったことである。事業活動に伴う所得格差はやむを得ないとしても、生産性を問われない公務員の待遇を上げ続け、財政の硬直化を招いたことは歴然としている。財政難を克服するには人件費を削るしかないのに、だれも手をつけようとしない。

経済的に恵まれている公務員の犯罪多発と、ワーキングプアと言えない大人(親)の国民健康保険料・国民年金保険料・保育料・給食費などの未払いは、根っこのところでつながっている。その結果どうなるかは想像できないらしい。

宮本みちこ放送大学教授は「日本の低所得者を『貧困』というには、あまりにも遠い響きがある。生活保護を受け、命をつないでいる人たちも増えているが、問題なのは、どんなに働いても豊かになれず、働いても報われない人たちが大勢生まれ、泥流のように川底に滞留していることだ」という。

社会システムが間違っているとしか言いようがない。こうした主張は、公務員の子どもたちがワーキングプアになり、親のすねをかじらなければ生活できない事態に直面しない限り理解されないだろう。

 課題は明らかだ。「経済大国」などとうぬぼれていないで、経済と福祉を両立させ、国民を幸福にするシステムをつくることである。とはいえ、筆者は悲観的だ。なぜなら、戦前の膨大な加害・被害を総括して歴史の教訓にできなかっただけでなく、いまだに市民として最小限のモラルを育むことができず、恥も外聞もなくなっているからだ。

(奥平)

巻頭言一覧に戻る