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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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格差社会が待っているもの(2007年11月号)

 日本の個人金融資産は約1500兆円(1人当たり1200万円)、金融負債を差し引くと約1150兆円(1人当たり900万円)。 内訳は、預貯金55%、次いで保険28%、株式7%、有価証券6%、その他4%。高齢者が振り込め詐欺に遭うのは多額の預貯金を持っているからで、低所得の若者や住宅・教育ローンの返済に追われる中年の被害がまれなのは預貯金が少ないからだ。

 一方で、深刻な貧困が広がっている。それは、生活保護世帯が107万世帯(06年度)を超え、無職者による犯罪が増えていることでも分かる。『貧困襲来』を著した湯浅誠氏によると、「五重の排除が貧困を決定付ける」という。

 ゞ軌蕾歡(学校教育システム)、企業福祉(正規雇用システム)、2搬科〇磧焚搬欧砲茲觧戮┨腓ぁ法↓じ的福祉(生活保護など)――からの排除で、最後に「ゼ分自身からの排除」に至るという。この指摘は大変興味深い。

 知人の息子は大学を卒業したものの、積極的に就職活動をしなかったため就職できず、30代半ばになっても派遣から抜け出せず、年収160万円に甘んじている。別の知人の40歳を過ぎた息子は、一流国立大学の大学院を卒業したにもかかわらず、いまだにアルバイト生活を続けている。年収は派遣の青年と変わらない。2人とも未婚で、親と同居している。彼らや無職者が結婚して子どもを産んでも、人並みの生活ができるとは思えない。

 「勉強しなかったのが悪い」「辛抱しないで会社を辞めたのが悪い」などと、すべて「個人の責任」に帰する向きもあるが、そうではない。 なぜなら、働けるのに働かないのは大きな社会的損失だからだ。そうした中で、猯派な疔[Г箙埓機関がありながら、十分機能していないという問題もある。 例えば、雇用保険に加入していないとポリテクセンター(雇用・能力開発機構)、高等技術専門校(県)で学ぶことが難しいだけでなく、失業給付期間が過ぎると公的な支援がない。 ハローワークに求職申し込みをし続けないと、「失業者」にカウントされないことも知っておくべき。

 今年8月末現在、全国の「公的な失業者」は約250万人。不可解なことに、都道府県及び地域の失業者数のデータはない。 知事や首長は失業者数を把握しないで「雇用対策」を口にしていることになる。

 このような行政の怠慢はほかにもある。おそらく、無職者による凶悪な犯罪が多発しても、行政の対応は変わらないだろう。

(奥平)

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