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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
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先人の知恵(2008年 4月号)

 最上川下りで知られる山形県最上郡戸沢村に『相扶共済』の碑がある。「力を合わせて助け合う」という意味で、由来はこうだ。

 医療から見放されていた山間僻地の最上郡角川(すみかわ)村は、昭和11年4月、全国初の角川村保健組合をつくり、村民が医療を受けられるようにした。昭和13年7月、国民健康保険法施行に伴い、同年8月、角川村国民健康保険組合に改組した。国保組合設立認可第1号。昭和30年5月、角川村は戸沢村、古口村と合併し、戸沢村角川となった。

 岩手県和賀郡沢内村(現・西和賀町沢内)は昭和29年に村立病院をつくり、乳児死亡率半減運動、高血圧・脳卒中を予防するため減塩運動を進めたほか、全国に先駆けて乳児・高齢者の国保10割給付を実施したことで知られる。

 昔の話を持ち出したのは、国民健康保険制度のありがたさを強調したいからだ。中には国保税を払わず、健康保険証を取り上げられる人もいる。病気で働けないならともかく、余裕があるのに払わない輩もいるというから呆れる。

 国民皆保険でないアメリカは、加入している保険によって受診できる病院が異なる。軽い病気でも数十万円、大病なら数千万円かかるから、無保険者は売薬でガマンするのが普通。最悪の場合、野垂れ死にする。

 最先端の医療を受けられるのは金持ちばかりなのはアメリカも日本も同じだが、日本はアメリカほど極端でない。皆保険を否定する人は保険会社の回し者ではないかとさえ思えるほど。

 少し前まで、金がかかるから病院に行けず、軽い病気で亡くなった乳児や高齢者がたくさんいたことを想像して欲しい。それではいけないということで国民健康保険制度がつくられ、今日まで続いてきたのである。国保財政が容易でないなら、制度を改悪して収支を合わせるのではなく、他の行政経費を節約して維持すべきだ。

 ところが、行政を行っている公務員は共済組合に加入しているから、一般市民(国保加入者)の痛みが分からない。また、公務員の所得が地域の賃金水準とかけ離れているから、市民との一体感がなく、「地域をどうにかしなければならない」という切羽詰まった思いが育たない。憲法が保障する住民自治は、むしろ遠のいた感じさえする。

 昨今は、衣食足りて強欲を知る、だ。アメリカに何でも倣うと、いまより暮らしにくくなるのは明らかだ。

(奥平)

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