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矢祭町議会(定数10)が「議員報酬日当制」(1日3万円)を導入してちょうど1年。議員報酬総額は3400万円(07年度)から1200万円(08年度)に減った。同町議会では、すでに政務調査費と交通費を廃止している。
日当制に賛成したある町議は「議員活動のありようが大きく変わったわけではないが、報酬が大幅に下がった分、ボランティアに近い意識が生まれ、町当局に本音で物申すようになった」と語る。
執行部の提案に「ノー」と言ったことがない町議会だが、最近、窓口業務などを外部組織に委託する第二役場構想、矢祭ニュータウン分譲地の購入・定住者に150万円を交付する定住促進条例に「待った」をかけるなど独自の判断をするようになった。
カリスマ性のある根本良一前町長の後継者となった古張允町長がリーダーシップを欠き、不必要な軋轢を生じさせている面もあるが、議員が住民の目線で是非を判断するのは当然のことである。
一方、日当制の問題点を指摘する声もある。
《昨年の町議選に初当選したある議員は、本業の仕事時間中に住民の意見を聞いたり、地元の会合に出席したりする場合、本業の仕事に代わりの人を雇っている。「この費用がバカにならない。実際に議員になってみて分かったが、日当の報酬だけでは十分な活動ができない」と話す。また、ベテラン町議は「一定の報酬がなければ、子育てしている働き盛りの世代が議員になれない。確かに全国から注目されたが、実際に日当制を導入した議会は、まだ矢祭以外にない」と指摘する》(読売新聞県版3月31日)
議員が住民の意見を聞き、地元の会合に出席するのは当然のこと。都合が悪ければ後日来てもらい、会合も欠席すればよい。「人を雇う費用がバカにならない」なら、議員であり続けることはない。
日当制が評価されたのは、仕事の割に高すぎる報酬を大幅に引き下げたからだ。日常活動をボランティアと錯覚する議員がいるなら、条例を「月額10万円(年額120万円)」に改正すればよい。
「子育てしている働き盛りの世代が議員になれない」というのも俗論。第一、子育て中の若い人が議員を志望するとは思えないし、いても無職者やフリーターだろう。そういう人が議員になってもかまわないが、ちゃんとした仕事を持ち、議員を辞めたのち、復職できる人が望ましい。仕事がないと、議員ポストにいつまでもしがみつくからだ。
本誌の主張は「議員定数を増やし、議員報酬(及び職員報酬)を引き下げよ」というもの。
(奥平)
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