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1947〜1949年生まれの団塊世代が年金受給年齢を迎えている。と言っても、受け取れるのは「特別支給の老齢厚生年金」の比例報酬部分だけで、月額十数万円程度。60歳から定額部分(老齢基礎年金)を繰り上げ受給できるものの、最大30%カットされるから、健康で仕事のある人は選択すると思えない。子どもが学生で、住宅ローンが残っていることも多いから、ほとんどの人は満額受け取れるまで働き続ける。そうした中で悠々自適なのは、2人合わせて約6000万円の退職金、月額50万円の共済年金を受け取れる公務員夫婦だけだ。
1971〜1974年生まれが団塊ジュニアで、大学卒業時にバブル崩壊に伴う就職氷河期に遭遇し、「不運の世代」と呼ばれている。団塊ジュニアが団塊世代のように就職して結婚すれば第三次ベビーブームが起きたのに、そうならなかった。非正規社員化(低所得化)によって非婚化が進んだからだ。こうして、親に寄生するパラサイトが増えた。
彼らは親に身の回りの世話をやってもらい、収入を趣味や携帯電話などに使う。昔の親は、居心地がいいと子どもが自立しないから、家から出ていくように仕向けたものだが、最近は違う。子となれ合うことに抵抗がなく、結婚した娘に「いやになったら、いつでも帰っておいで」という始末。
愛情というより、打算が透けて見える。夫婦だけの生活は味気ない。子どもがいると何かと重宝で、場合によっては老後を託せる、というわけ。
収入が少なくても、結婚して子どもを育てることができる。それはそれで楽しいもので、それが当たり前だった。ところが、性欲はDVDで間に合わせ、金が足りなくなったら親にせびる。果ては「自分で働いて得た給料を、パートナーや子どものために使うなんて考えられない」と言ってはばからない。
非婚・パラサイトを社会的な要因に求める傾向が強いが、むしろ、「子離れできない親」にあるような気がする。親が子離れできないから、子が親離れできない。それがもつれて悲惨な事件になる。
非婚・パラサイトに言いたい。いまは気楽でいいだろうが、いずれ親は亡くなり、自ら老いがやってくる。要するに、未来の独居老人。その時、身寄りがないのは、きっとさびしいはずだ。
親は困ったような顔をしているが、実際は、冷静に計算している。それを見抜けないようでは、まだまだ甘い。
教育すべきは非婚・パラサイトではなく、その親と断言する。
(奥平)
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