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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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竹原信一市長の挑戦(2009年 7月号)

 議会から不信任決議を受けて市長が失職したことに伴う鹿児島県阿久根市の出直し市長選は、5月31日に投開票され、前職の竹原信一氏(50歳、無所属)が元国土交通省職員の田中勇一氏(56歳、無所属)を破り、再選を果たした。得票数は、竹原8449票、田中7887票。(不信任決議の経緯は本誌4月号参照)

 反竹原派市議にかつがれた田中氏は「改革という名で行政が破壊されている」と訴え、選挙結果を「市民の良識の敗北」と総括するなどヘンな良識人ぶりを見せた。同派市議の「ブログで全国に阿久根市の恥をさらした」という批判もつまらない。これでは波風が立たない方がよいことになる。

出直し市長選の争点は「竹原氏の強引な政治手法の是非」(朝日新聞6月1日付)ではなく、「これまで通り職員厚遇の行政を続けるのか、それとも住民本位の行政に改めるのか」に尽きる。

 どの地方自治体でも、人件費・扶助費・公債費(借金返済)の義務的経費を最初に確保し、残った予算を普通建設事業など投資的経費、維持補修費などその他の経費に回すやり方をしている。税収や地方交付税など歳入が減ったら投資的経費を真っ先にカットし、それで足りなければ新たに借金し、職員の待遇には手を付けない(手を付けてもほんのわずか)。

 周知のように、国も地方自治体も借金で首が回らないのに、職員1人当たり、給料・諸手当や共済組合負担金を合わせ年約1000万円の人件費、約3000万円の退職金を負担している。いずれも大手企業を上回り、公務員がいる世帯といない世帯の所得格差が全国規模で広がっている。

財政状態の良し悪しにかかわらず、職員厚遇は税金のムダ遣いで、それを「常識的な水準に是正したい」という竹原氏の主張はうなずける。

 地方は不況になる前から人口減・過疎化、高齢・独居化、貧困化が顕著で、公共交通機関の維持、医師の確保に苦慮してきた。そのうえ、このたびの不況による若者や中高年の大量失業である。

 地方自治体は財政難を理由に行政サービスを縮小しているが、とんでもない。まず職員厚遇を改め、浮かした金で生活に苦しんでいる住民への投資を積極的に進めなければならない。議会が協力するのは当然のことで、「政治手法が気に入らない」などと言って反対するのは許されない。

 この国に民主主義のルールはあるが、住民自治が機能したことは少ない。そういう意味で、竹原市長の挑戦にエールを送りたい。

(奥平)

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