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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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全失業者に生活扶助を(2010年 1月号)

 《若者の就職事情は年々厳しくなっている。最近の20代は大学を出ても、大企業や官公庁に社員や職員として就職できるのは成績上位の5%程度。あとは不安定な非正規雇用の仕事を転々とするしかない。今年(09年)の大卒は、ざっと半数が就職先を見つけられなかった。就職した人も約8割は非正規で、それも多くは1年とか2年未満の短期雇用だ》

 ウ・ソックン延世大学(韓国)講師が、朝日新聞09年7月29日付のインタビューに答えたものである。

 日本の就職率は同年、大卒約82%、高卒約80%(いずれも正規・非正規は不明)。ところが、今春卒業予定者の就職内定率は、大学62・5%、高校55・2%(福島県50・4%)、韓国に近付いている。

 スタート時点から無職だと、健康保険や雇用保険などセーフティーネットから漏れ、正規雇用・結婚のチャンスが遠のく。就職できても低賃金なら同じこと。生きにくい世の中になったものだ。

 かつてはそうでなかった。選ばなければ仕事があったし、容姿や収入がイマイチでも、互いに高望みしなかったから、結婚しない人はいなかった。いまでは就活・婚活に大わらわで、子も親も余裕がなさそうに見える。

 これまで若者の失業は家庭の問題とされてきたが、憲法第25条に照らし、失業者に生活扶助すべきだ。失業者400万人に国民年金程度を給付すると約3兆円。公務員の人件費の1割に満たない。

 問題は、その先だ。参考になるのはNHKスペシャル『ワーキングプア掘_魴茲悗瞭察戞イギリスでは、累計13兆円の予算を組み、社会的排除防止局の職員(支援員)が街頭に出て、ぶらぶらしている若者に「仕事はあるか?」と声をかけ、「社会的企業」約5万社への職業訓練を促している。社会的企業には国の補助があり、そのプログラムを受けている若者は30万人に上る。それが社会的なコストを減らす近道、としているのだ。

 日本の生活保護受給者はほとんどが母子家庭・傷病者・高齢者で、給付水準が比較的高く、100万人前後で推移してきた。ところが、このたびの不況で、失業した中高年やホームレスの若者にも給付するようになり、昨年9月、172万人を超えた。60歳未満の健康な人に給付するケースは稀だったから、生活保護制度が想定していなかった事態と言える。

 今後は就労を前提に、住宅、治療、託児所など働ける環境を整備し、生活扶助を国民年金並みに引き下げたうえで、全失業者に給付する。そうしなければ社会的なコストはそれ以上にかさむ。

(奥平)

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