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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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世襲・勉強秀才の限界(2010年 6月号)

 小さな飲み会で、芸術関係の男性(30代)が「負ける戦争をやるなんて、日本人はバカだ」と言ったという。その場にいた筆者の後輩(40代)が、太平洋戦争の経緯を尋ねたらほとんど知らなかったという。BC級戦犯として訴追された韓国人のことを書いた本をたまたま持っていたら、「(出版元の)朝日新聞社は偏向している」と言ったという。

 後輩が「このような人とどう接すればよいか」と聞くから、「バカの定義と日本人がバカと思う理由、偏向の定義と朝日新聞社が偏向していると思う理由について思いつくまま挙げてもらう。それがまともかどうかだが、オレの想像では深い思索もなく、決まり切った悪罵を繰り返しているにすぎないと思う。多少知識があったら、そういう言い方はしないはずだから」と答えた。

 もう少し話を聞くと、傲慢男は外国語に堪能で、そうでない人を無能力呼ばわりするという。やれやれ、こんな人物はどこにでもいる。

 普天間基地移転問題で醜態をさらした鳩山首相は昭和22年生まれ。東京大学工学部計数工学科、スタンフォード大学博士課程、東京工業大学経営工学科助手、専修大学経営学部助教授を経て、昭和61年の総選挙で初当選。現在8期。細川内閣官房副長官、新党さきがけ代表幹事、民主党幹事長を経て、昨年、同党代表、首相となった。曾祖父、祖父、父も政治家。

 衆院議員を24年務め、政府・政党の要職を歴任しながらこの体たらく。普通の感覚なら、恥ずかしくて国民・沖縄県民に顔向けできない。鳩山首相でさえ、この程度なのだから、日本人(特に勉強秀才)は政治・外交・軍事に向いていないのかもしれない。

 おそらく日本は、破綻直前まで借金財政を続け、結局、ギリシャのようにIMFなど外圧によって「受け入れるしかない」ということで、ようやく財政再建に取りかかるだろう。「日本人はバカだ」と言い放った傲慢男を説教する気にならない。

 敗戦から65年。鳩山首相は日米同盟を維持しながら、「政権交代」と「独立国としての誇り」を大義名分に、「米軍基地の段階的縮小」が政府の方針であることをアメリカに伝え、時間をかけて方策を話し合い、その流れの中で全国・沖縄の米軍基地問題を考えるべきなのに、そうしなかった。このままでは国内にせよ国外にせよ、「移転先を確保するのは日本政府の義務」という主張が通りかねない。

 政治家に必要なのは、教科書を理解する能力や外国語を話す能力などではなく、現状を正確に認識し、目標達成のプロセスを見通す能力である。

(奥平)

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