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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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一体感を欠く福島県(2010年 10月号)

 明治維新の直前、現在の県域には、福島藩(3万石)、二本松藩(10万石)、下手渡藩(1万石)、守山藩(2万石)、三春藩(5万石)、棚倉藩(10万石)、磐城平藩(3万石)、泉藩(2万石)、湯長谷藩(1万5000石)、中村藩(6万石)、会津藩(28万石)の11藩、域外14藩の飛び地、幕府直轄地、旗本領、寺社領が複雑に入り組んでいた。版籍奉還後は紆余曲折を経て、明治9年8月、福島・若松・磐前の3県が合併して福島県となった。

 当時の最大都市は若松だったが、藩閥政府から疎まれ県庁が置かれなかった。交通の要衝だった郡山は発展途上で、結局、仙台鎮台(師団の前身)に近い福島に県庁が置かれた。その後、県庁移転が県議会で議論されたこともあるが、現在に至っている。

 域内は奥羽山脈と阿武隈高地が南北に走り、会津・中通り・浜通りに分断され、地域を越えた文化的・経済的な交流は少なかった。寄せ集めの県だからという事情もあるが、一体感を醸成する政策が不十分だったのは否めない。

 いわき、郡山、福島、会津若松は地域を代表する都市だが、どこも県を代表する都市ではない。だから、「オール福島」であることを示すときは平仮名の「ふくしま」を使っているが、これも福島市のイメージと重なる。サッカーチームが育たないのは、地元企業の無理解以上に、県全体のまとまりがなく、一体感を醸成するネーミングが難しいことにあるのではないか。平安時代の「岩背国」「岩代国」もなじみが薄く、信州でくくれる長野県がうらやましい。

 隣の宮城県は、岩手県南部と浜通りの一部(新地町)を失ったものの、仙台藩領をそっくり継承した。外縁部を除くと比較的平坦で、仙台城があった仙台に国の出先機関が置かれ、軍事・商業・工業の集積地となった。さらに旧帝国大学(東北大学)が立地し、知的財産や新産業を生み出してきた。最近、理系学部を新設したとはいえ、前身が師範学校と経済専門学校の福島大学とは大きな違いである。

 福島県は、県北・県中・県南・会津・南会津・相双・いわきの「7つの生活圏」の均衡ある発展を目指してきた。地域格差の解消は是としても、投資効率が小さい。仕方ない面があるものの、県経済が掛け算にならないゆえんである。

 今後は分散投資を避け、県全体を浮揚させる施策が求められる。それが県民の一体感を醸成することにつながる。とりあえず地域間の連携・交流をもっと深めるため、道路の整備を急ぐべきだ。これは、ないものねだりではない。

(奥平)

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