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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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最終処分地となる第一原発所在地(2011年 7月号)

 去る6月9日、南川秀樹環境省事務次官が佐藤雄平知事と会談し、東京電力福島第一原発の事故によって発生した放射性物質に汚染されたガレキの最終処分場を県内に建設する考えを伝えた。

 南川次官は「大震災と原発事故からの復旧・復興に向け、放射性物質が付着したガレキの処理は急務」とした上で、「最終処分場(の立地)は福島県以外に考えられない」とした。これに対し、佐藤知事は「県として受け入れられない」とし、「今後、最終処分場建設についての要望・提案を一切受け付けない」と述べた。

 何事もスローモーな菅内閣にしては素早い対応と言える。だが、環境を守る役所の事務方トップが、放射性廃棄物の最終処分場建設を地元知事に打診するのは異様である。本来なら原発を所管する経済産業省が担当すべきで、環境省はそのあり方を厳しく指導する立場にある。要するに、行政指導する側が建設を促進するもので、公平性と信頼性を著しく欠く。県内が放射能に汚染された件でも、環境省が避難や除染を求めた話は聞かないから、こんな役所はムダ飯食いと断ぜざるを得ない。

 汚染されたガレキのほか、構内に保管されている大量の放射性廃棄物、汚染水浄化に伴って発生した放射性廃棄物、下水処理場に保管されている放射性焼却灰などを埋め立てたいとみられるが、「放射性ガレキの最終処分場が福島県以外に考えられない」というなら、「廃炉の最終処分場も福島県以外に考えられない」ということになる。

 第一原発1〜3号機がメルトダウン・メルトスルーし、燃料の一部が建屋のコンクリート、さらに地表へ達している可能性がある。溶融した燃料を取り出せるとは思えないし、取り出せたとしても受け入れる自治体が現れるとは思えない。したがって、県が「廃炉の最終処分場」を拒否しても、「取り出せないから動かせない」という理由で、第一原発の所在地が実質的に最終処分地となり、周辺に大規模な放射性廃棄物の最終処分場や各種プラントが建設されるだろう。政府にとっては都合のよいことに、このたびの事故によって懸案だった「バックエンド問題」が解決することになる。

 県当局・県民はこうした現実を冷徹に見据え、「すべての放射性廃棄物を東京電力の営業エリアに運べ」と言い続けなければならない。そして、県内に放射性廃棄物がある限り、多額の補償を求めるべきだ。かつての自治体への交付金方式ではなく、県民に直接還元するのが望ましい。

(奥平)

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