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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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祖先と子孫に詫びなければならない(2012年 1月号)

 今から約1万年前に日本列島ができたという。以来、列島に住む人々は、たびたび大きな地震と津波に襲われてきた。悔しいけれど、宿命だから受け入れるほかない。人も自然も時間とともに癒されるが、放射能汚染はそうではない。

 放射性物質の半減期は、セシウムが134約2年(10年で100分の3になる)、セシウム137が約30年、「飛散しにくい」とされるストロンチウムが約29年、プルトニウムが約2万4000年。

 このたびの事故の責任の度合いはそれぞれ異なるものの、わが列島を汚染させてしまったことを祖先と子孫に深く詫びなければならない。

 小出裕章京都大学助教によると、「原発を廃止しても、低レベル放射性廃棄物は300年、高レベル放射性廃棄物は100万年、お守り(管理)する必要がある」という。運よく事故が収束しても、放射能から逃れられるわけではないのだ。気候や地殻の大変動を考えると、人類の解決能力を超えている。

 原発の発電コストが安いのは、超長期にわたる放射性廃棄物の管理費をカウントしないからである。当初から、その管理を電力会社に委ねていたら、狭い列島に54基も建設されなかったに違いない。

 事故後の対応も不十分だ。

 1つは、地下水と海水の汚染対策を講じていないこと。周知のように、原発周辺の地下に大量の汚染水があり、それが内陸部に浸透している。昨年5月号で指摘したように、周囲をボーリングしてコンクリートを打ち込み、遮断しなければならないのに、いまだに着手していない。汚染冷却水の放出は論外。また、浜通りの河川から太平洋に大量の放射性物質が流出しているにもかかわらず、放置している。このままでは、房総沖から三陸まで漁ができなくなる。

 2つは、原発事故から10カ月近くなるのに、山林を含む詳細な汚染地図をつくらないこと。これがあれば、小さな谷筋ごとの汚染状況が分かり、居住や耕作などの目安になる。汚染作物はつくるべきでなく、補償が基本。避難・帰宅を決めるのは政府ではなく、住民自身である。混乱している避難指示区域外の賠償は、一定額を全汚染地域に広げ、プラスα分を放射線量に基づけばよかった。

 3つは、汚染地域の不動産買い取り、農地あっせん、集団移住を早急に進めること。自治体の存続に固執する首長もいるが、そんなものはどうでもよい。

 4つは、効果が限定的な除染に膨大な資金を投じるのではなく、むしろ被災者に手厚く補償し、生活再建を優先させるべきだ。

(奥平)

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