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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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避難者への救済策を先に示せ(2012年 2月号)

 野田佳彦首相は1月8日、県庁で佐藤雄平知事と会談し、東京電力福島第一原発事故による汚染廃棄物を保管する中間貯蔵施設を双葉郡内に建設することを正式に要請した。佐藤知事は「県として非常に強く受け止める」として、郡内8町村の意向を踏まえ容認する考えだ。これに対し、双葉町長と双葉町議会は強く反発している。他の7町村も無条件で賛成するとは思えない。

 そもそも中間貯蔵施設という言い方が気に入らない。最終処分場の立地が困難だから、とりあえず中間貯蔵施設として、実質的に最終処分場にしようという魂胆が見え透いているからだ。しかも、受け入れるかどうかの議論が始まらないのに、有力候補地は第一原発周辺の大熊・双葉両町内とされている。「汚染がひどくて住めないのだから」ということなのだろうが、あまりにも安直すぎる。

 除染作業が本格化すれば、汚染廃棄物が大量に発生することは誰にでも分かる。だが、市町村の仮置き場ですら住民の反対によって確保できない現実が見れば、「どうせ住めないのだから」と言って場所を勝手に決めるのは不謹慎だ。

 もうひとつ気に入らないのは、中間貯蔵施設の建設と運営を国100%出資の蠧本環境安全事業が行うこと。手回しが良すぎるだけでなく、事故の後始末を国が税金でやるのは納得できない。さらに、未曽有の大事故にもかかわらず、東京地検特捜部が捜査に着手しないことにも強い違和感を覚える。

 本誌が言いたいのは「原発事故によって十数万人が県内外に避難している中で、中間貯蔵施設より先に、彼らへの救済策を示せ」ということである。具体的には、生活再建に不可欠な不動産買い取り、営業損失補償、慰謝料などである。

 現在、国は警戒区域・計画的避難地域の再編作業を進めている。要するに、避難地域を縮小し、補償対象を抑えようというのだ。このような「収束」は断じて認められない。

 原発事故から間もなく1年。住む人がいなくなった住宅は荒れ、リフォーム代がかかる。放射線量が下がっても人口が減り、店舗・工場の営業・操業の再開は難しい。国・県・市町村は除染を進め、以前と同様のインフラを整備して「みんな戻って生活して下さい」と言いたいようだが、順序が違う。

 効果が限定的な除染に膨大な税金を費やすのではなく、移住したい人に手厚く補償したうえで、戻りたい人の年齢などを把握し、それに見合ったコンパクトな地域づくりを進めるべきだ。

(奥平)

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