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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
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加速する過疎化(2012年 8月号)

 政策研究大学院大学の出口恭子准教授の試算によると、福島県の人口は、2010年を100として、30年後の2040年に、震災がなくても63・8(36・2%減少)、これに震災の影響を反映させると、今後の転出・転入のペース(移動率)が震災後1年間の7割に低下すると仮定した場合、50・8(49・2%減少)となり、65歳以上の割合(高齢化率)は44・7%、全国1位になる。

 一方、同じ被災地の宮城県は、震災がなくても75・0、震災の影響を加えても75・6(24・4%減少)、岩手県は、同59・4、同67・9(32・1%減少)。

 岩手県より福島県の減少率が大きいのは、明らかに原発事故の影響である。近い将来、福島県の子どもたちの健康に異変が起き、あるいは低線量被曝のリスクが証明されたら、若い世代の猜‥舂イ讚瓩加速するだろう。こうした中で、福島県は雇用を促進するため企業誘致に努めている。「何もしないわけにいかない」という気持ちは分かるが、的外れだ。

 私たちがリスクを承知しつつ、県内に住み続けているのは、よそに移って生活するのが難しいからだ。したがって、事故原発の厳密な意味での冷温停止を強く求めるとともに、放射線管理区域(実効線量3カ月1・3寸咤=空間線量率0・6〜2・2μSv/時を3カ月浴び続ける)から脱するべく、除染が求められる。ところが、原発事故から1年5カ月近くなるのに、いずれも遅々として進んでいない。

 県北保健福祉事務所(福島市御山町、7月22日午前10時)の放射線量は0・68μSv/時。そこに90日間立ち続ける人はいないとしても、安心できる数値と言えない。企業を誘致する場合、事業の継続性や従業員の健康を考え、いわき市平や会津若松市並みの0・10μSv/時に下げることが求められる。それを達成するには除染するほかないが、国の対応を待っていたのではいつになるか分からない。そうなら、県・市町村が自前でやればよい。

 このように言うのは、好条件の補助金欲しさに、高放射線量のうえ、再爆発の危険が去っていないところに進出しようとする企業の真意をはかりかねるからだ。したがって、現在は企業誘致より、冷温停止、徹底除染、被災者救済を優先させるべきだ。

 過疎を加速させる要因がもうひとつある。それは、昨年7月の新潟・福島豪雨のような大災害が起きることで、そのたびに人口が減っていく。

 福島県は大震災・原発事故によって大きな被害を被った。将来の展望を持ちえないのは、戦略性を欠いた歴代県政にあるのは疑いようがない。

(奥平)

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