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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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原発事故で分かったこと(2013年 1月号)

 原発事故を検証する新聞記事や書籍出版が相次いでいる。必要なことではあるが、何となく違和感を覚える。本来の意味での冷温停止状態に至っていない中で、東電のデタラメな対応を指摘しても安全性が高まるわけではないからだ。とりあえず、マグニチュード9プラスα級の地震と津波に耐えられるかどうかを早急にチェックしてほしい。さらに、営利会社の東電が金のかかる最善策を講じるはずがないから、事故原発を国有化し、国管理のもとで世界の英知を集めて終結を目指してほしい。国が前面に出ないと、再爆発や燃料プール崩落など深刻な事態に至ったときの責任逃れと疑われる。

 昨秋、国が原発立地周辺自治体に避難計画策定を求めたとき、桐生悠々の「関東防空大演習を嗤う」(1933年8月)を思い出した。首都圏で行われた防空演習に対して、「空襲を受ければ、木造家屋が多い東京は大火災を起こし、関東大震災規模の被害が出る。敵機を東京の空に迎え撃つということは、わが軍の敗北そのものである」というもの。

 10万人なら50人乗りバス2000台。バスはどこにあるのか。誰が運転するのか。避難路は確保できるのか。重症患者や寝たきり老人をどうするのか。結局、避難計画は気休めに過ぎない。

 事故後、いくつか分かったことがある。政府は「ただちに健康を害するものではない」として、福島県民に迅速な避難を促さなかった。マスコミは「不安を煽らない」として、政府の広報に徹した。一方、内規に基づき、NHKは40繊朝日新聞は50繊∋事通信は60舛侶外に避難した。

 NHKは他のマスコミよりマシだったが、学者や解説委員を動員して、連日「深刻な事故だが、破壊的ではない」と放送した。東電が1・2・3号機のメルトダウンを認めたのは2カ月後だが、学者や解説委員が電源喪失から短時間でメルトダウンすることを知らなかったとは思えない。

 朝日新聞(昨年11月26日付)の廃炉特集も納得できない。「放射性廃棄物は400年の管理が必要」と書きながら、使用済み核燃料については「300年の管理が想定されているが、その後どうするかは決まっていない」として、10万年もの管理が必要なことに触れないからである。

 地元の切実な願いは、汚染地域内の不動産買い取りと10年程度の所得補償である。これなら人生をやり直すことができる。同じ仮設住宅に住みながら、何の補償もない大震災被災者は気の毒だ。区別しないで、避難手当を支給すべきだと思う。

(奥平)

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