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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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生活再建は長い道のりになる(2013年 3月号)

 大震災・原発事故から2年になる。津波の映像に接すると、いまだに条件反射的に体が固まってしまう。津波の映像はほとんどが三陸沿岸のもので、翌年に牡蠣や昆布・ワカメなどの出荷が始まった。嬉しく思う反面、原発事故による避難や禁漁の現状を見ると、「津波だけだったら」という思いを禁じ得ない。将来の見通しが立たないからである。

 事故後の対応に不満なのは、世界の英知を集めて廃炉作業を進めているように見えないことである。それは構内に汚染水が増え続けていることでも分かる。再び汚染水を海に流すつもりだろうか。そもそも営利会社の東京電力に廃炉作業を委ねることに無理がある。したがって、事故原発を国有化して、国の責任で廃炉作業を進めるべきだ。

 避難者対策は「生かさず殺さず」の域を出ない。近い将来、狭い地域に限って「半永久帰還困難区域」を指定し、補償手続きを進めると思われるが、それへの対応が求められている。

 放射線量が下がっても、農業や畜産業が営めないなら、「半永久帰還困難区域」に相当する。資産価値が下がっただけでなく、長期避難によって家屋が傷んだ事実もある。原発事故によって利用できないのだから、買い取りもしくは賃料を払うべきだ。

 現在、幼児から年寄りまで一律月額10万円の慰謝料を受け取っている。避難者の中には「こでらんに(こたえられない)」と言う人もいる。収入の補てんを受けたうえ、5人家族なら月額50万円だからありがたいだろう。しかし、補償ルールが決まったら、差し引かれるのは間違いない。問題は、時間の経緯とともに勤労意欲がなくなることである。年寄りはそれでいいかもしれないが、若い人は先が長い。

 本誌が強く主張したいのは「生かさず殺さず」ではなく、資産補償と所得補償と慰謝料の基準を早急に示せ、ということである。資産補償は、戻りたくない人は買い取り、戻りたい人は借り上げ、選択できるようにする。真正な所有者を調べるのは容易でないというのは言い訳で、とりあえず役所の資産台帳を活用すればよい。

 福島県は恵まれていた。首都圏に近く、北東北のように寒くないからだ。野坂昭如に「勉強もスポーツも全国最低レベル」という話をしたら、「それはいいことなんじゃないの」と軽くかわされた。そういうわけで、われわれはそれほど頑張らなくても生活ができ、凡庸な人でも知事が務まった。だが、いまは違う。意識して頑張らなければ、普通の生活は取り戻せない。それは長い道のりになる。

(奥平)

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