ホーム
バックナンバー
ウェブ連載「巻頭言」
ウェブアーカイブ New
政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
ご挨拶/会社概要
株式会社東邦出版
福島県福島市南矢野目鼓原1-2
TEL:024-554-6101(代表)
FAX:024-554-6103
Email:info@seikeitohoku.com

避難者が真に立ち直るために(2013年 4月号)

 今月号から主幹・奥平に代わり、スタッフが交代で巻頭言を担当することになった。つたない文章で恐縮だが、気取らず、各人の考えを綴っていけたらと思う。

 町長と議会の対立で混乱が続いていた双葉町の町長選は前町議の伊沢史朗氏が初当選した。井戸川克隆前町長は中間貯蔵施設の現地調査を拒否し、国との協議にも一切応じようとしなかったが、伊沢氏は容認すると明言。このままいけば紆余曲折はあるだろうが、建設のメドはつくと思われる。

 過日、双葉町の経営者と話す機会があった。その経営者によると、地区住民同士の話し合いで中間貯蔵施設建設に反対する人はいなかったという。「それがないと除染が進まないことを、みんな分かっているから」だ。さらには「半永久的に置かれることを覚悟し、それに見合う賠償を求める意見が大半だった」とも言う。全くの新天地で出直そうとすれば、まとまったお金が必要。住民が賠償請求するのは当然の権利と言える。

 問題は肝心の財物賠償が進まず、精神的損害(月額10万円)、就労不能損害(月額50万円まで)、生命・身体的損害(通院1日につき4200円)などの賠償がダラダラと続いていることだ。まとまったお金ではなく、毎月いくらという形でお金が入るため、避難者の中には「働かなくても食っていける」と考えている人もいる。

 故郷を奪われたのだから当然の代償、という見方もあるが、半面、これらの賠償は永久に続くわけではなく、いつか打ち切られる。そのとき「賠償がなければ生きていけない」ということでは、あまりに切ない。もちろん、避難者を長期にわたり支える制度設計(健診や仕事の斡旋)は必要だが、本来、賠償は「立ち直る糧」でなければならないはずだ。

 過日、テレビ番組で大熊町の避難男性が会津に移住することを決め、「オレはヒトとして出直したいんだ」と話していた。原発事故は人々から仕事を奪っただけでなく、賠償によって就労意欲も失わせた。避難男性の言葉は「賠償がヒトをダメにしていっている」という風にも聞こえた。

 汚染された故郷を完全に取り戻すのは無理だろう。(やりがいのあった)元の仕事に就くのも難しいかもしれない。しかし、ヒトとしては原発事故前の姿に戻りたい。各地で「国・東電は誠意がない」と集団訴訟の動きが広がっているが、避難者が真に立ち直るためにも、国・東電は滞っている賠償を速やかに進めるべきだ。

(佐藤)

巻頭言一覧に戻る