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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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被災者には健康で文化的な生活を営む権利がある(2013年 5月号)

 原発被災者と話をしている中で「政経東北さんは本当のところはどう思っているの?」と聞かれることが多々ある。「どう思っているか」とは、帰還の可否と是非についてである。

 当初は答えに窮することが多かったが、この間、さまざまな角度から取材する中で、筆者なりに1つの答えに辿り着いた。

 憲法第25条は《すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する》と定めており、これが基本になる。

 いま、国では空間放射線量(年間積算線量)に応じて、従来の避難指示区域を帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域に再編している。その根底には「原発の安全性が確認され、今後、大量の放射能放出などの恐れがなくなったため、避難指示の解除手続きに入るのは妥当」といった判断があるという。

 しかし、原発被災者の多くは事故原発が安定状況にあるとは思っていない。この間のさまざまなトラブル報道などからしても、牋豈の安定瓩任△襪海箸鰐世蕕。

 もう1つは、居住制限や避難指示解除準備に指定された人の多くは、「いずれ賠償の範囲が狭められるのは間違いない。結局のところ、国は賠償の対象者を減らしたいだけ。だから、われわれを無理矢理にでも帰そうとしているんだ」といった疑念を抱いている。

 いまの避難指示区域は帰還困難、居住制限、避難指示解除準備のどれを見ても、「健康で文化的な最低限度の生活」ができるような状況ではない。そのような土地への帰還を、国や自治体が推し進めるようなことは絶対にあってはならない。

 一方、憲法で定めているのは「権利を有する」ということだけだから、「多少の危険や不便は承知のうえ。それでも(権利を放棄してでも)、ふるさとに帰りたい」といった考えの人がいたら、それを拒むことも基本的にはできない。

 もちろん、住民の身体・生命に重大な危険を及ぼす可能性がある場所での生活は控えなければならないが、そうでない範囲で、前述のような考えの人への対応も考えなければならない。

 結局のところ、原発被災者それぞれがどうしたいかが重要であり、彼らの意向が最も重視されなければならないということだ。これは当然のことだが、残念ながらいまはそうなっているとは言い難い。そこが最大の問題である。

(末永)

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