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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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"無関心"への違和感(2013年 6月号)

 去る3月18日、東電福島第一原発で停電が発生し、使用済み燃料プールが約29時間にわたり冷却できない事態となった。仮設配電盤にネズミが入り込みショートしたのが原因とされているが、気になったのは県民の反応だ。

 大事故を起こした原発で、再び冷却不能になったことに不安を抱く人がいた一方で、「再爆発はあり得ない。大騒ぎするほどのトラブルではない」と冷静に振る舞い、無関心を装う人も多かった。不安を抱く人の姿を見て「何も分からず、ただ騒いでいる」と失笑する人もいたほどだ。

 こうした現象は、4月に福島第一原発の地下貯水槽で放射性汚染水の漏出が明らかになったときもあった。深刻な事故を経験して多少のトラブルでは動じなくなっているのか、「いまさら騒いでも仕方ない」と考えているのか。いずれにしても、福島県の現状からあえて目をそらしているように見えて、どうも違和感が拭えない。

 震災・原発事故から2年以上経過し、異常事態という意識が徐々に薄れつつあることに加え、おそらく放射能汚染の影響を過剰に煽りたてる脱原発・反原発支持者への反発の思いもあるのだろう。インターネット上では県内で日常生活を送る県民を貶める内容の発言・推測が流され、根拠の無い情報をきっかけに騒動になることもあった。「原発や放射能の情報に振り回されるのはもうウンザリ」とつい冷静に振る舞う人が増えているのかもしれない。

 ただ、福島県に住む以上、原発や放射能の話題は避けて通れないのも事実。少なくとも、廃炉作業が終わるまでの数十年間は原発事故の後処理に付き合わなければならない。ずさんな安全管理が浮き彫りとなった東電が引き続き廃炉作業を進めている以上、どんなことが起きても不思議ではないし、実際、冒頭で紹介したように想定外のトラブルがすでに発生している。些細な問題を大げさに騒ぎ立てる必要はないが、重大なトラブルが起きたときは管理体制を検証し、その深刻度や影響について話し合うべきではないか。

 自分なりに情報を集め安全と判断した上で冷静・無関心を決め込む分にはいいが、無防備に原発や放射能に興味を示さなくなれば、原発事故の風化が進みかねない。深刻なトラブルや事故が発生した後に「こんなに原発が危険な状況だとは思わなかった」と後悔しないためにも、原発・放射能の問題をタブー化せずに話し合い、情報を共有する癖を意識的につくる必要があろう。

(志賀)

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