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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
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理念で終わらせるな(2013年 7月号)

 「原発事故子ども・被災者支援法」という法律をご存知か。原発事故で被災した人たちを文字通り支援するための法律で、昨年6月に成立したが、多くの県民が同法の存在を知らないと思われる。

 理由の1つに、同法が理念法に留まり、実効性が備わっていないことが挙げられる。

 同法は、県内に留まった人も、県外に避難した人も、避難先から戻った人も、国が責任を持って支援することを定めたもので、超党派による議員立法で成立した。健康上の不安や生活上の負担を抱える被災者に適切な支援策を必要な期間講じることや、放射線の影響を受け易い子ども(胎児を含む)の健康管理に万全を期すことなど、6つの基本理念が謳われている。

 ところが、こうした基本理念に実効性を持たせるには《政府は(中略)被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針を定めなければならない》(同法第5条)のに、同法成立から1年経っても基本方針が策定される気配はない。復興庁は3月、策定の遅れをカバーするため被災者支援施策パッケージを公表したが、内容は同法より後退しており、骨抜きの印象は否めない。

 基本方針が定まらない背景には「支援対象地域」が決まらないことにある。すなわち、法律策定に携わった議員が「年間1ミリシーベルト以下の地域」と主張するのに対し、国は「年間20ミリシーベルト以下の地域」を念頭に置いている。年間1ミリシーベルト以下に引き下げれば支援対象地域が拡大し、財政負担がベラボーになるから国としては認められない、ということらしい。

 同法がザル法で終わらないよう、市民団体は基本方針の早期策定を求める運動を展開している。しかし、同法が世間に周知されていないせいもあり、運動は広がりを欠いているのが現状だ。

 この件で、本誌2月号・飯舘村の住民アンケートで取材した日本大学・糸長浩司教授にお叱りを受けたことがある。「せっかくできた法律なのに知らない人がほとんど。全村避難した飯舘村ですら、アンケートで『こういう法律を知っているか』と質問したら『知っている』と答えた村民は1割しかいなかった。これは、同法の成立や趣旨を積極的に報じなかったマスコミの罪でもある」――返す言葉がない。

 自然体験活動を通じた心身の保養、家族と離れて暮らす子どもへの支援、避難先での住居確保や就業支援、子どもや妊婦の医療費減免など、理念に掲げられた支援策は被災者にとって欠かせないものばかり。猜造って魂入れず瓩任楼嫐がない。

(佐藤)

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