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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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大を投じて大を成す(2013年 8月号)

 愛知県豊橋市に樹研工業というプラスチック製小型精密部品メーカーがある。同社は100万分の1帖直径0・149澄▲ネスブックにも載った世界最小の歯車を製作したことで知られる。10年ほど前(だったと思う)、新聞か、雑誌かは忘れたが、同社の記事を読んで記憶に残った。

 同社は平成3年に1万分の1弔了車を開発、その5年後の8年には10万分の1帖△気蕕14年に100万分の1弔了車を製作した。その開発に費やした費用は2億円、その他の設備投資を含めると5億円に上るという。当時、同社の売上高は20億円台だったというから、かなり大きな投資である。

 しかも、この世界最小の歯車には用途がないのだというから驚く。これまでの販売実績は何とゼロ。それでも、世界最小の歯車を開発したことで、マスコミから注目されるようになり、同社の名前と技術力が世界中に知られることになった。結果、国内外のメーカーから注文を受けるようになった。

 筆者は過去に愛知県に住んでいたことがあるが、この記事を読み「いかにもらしい」と思った。筆者が愛知県で過ごして印象に残っている1つは、厳しい消費者とそれに答えようとする商売人(企業)の姿。厳しい消費者が商売人(企業)を育てるのだと強く感じた。

 翻って、福島県の場合はどうか。

 本誌は、「福島県は東北の玄関口に位置することから、特別な努力をしなくても、東北道や新幹線が整備されるなどの恩恵に預かってきた」、「さほど努力をしなくても、ほどほど食べていけるから、努力を怠ってきた」ということを、この間、何度も指摘してきた。

 消費者にしても、価格が高い、味が悪い、利用しにくいと思ったら、買わない、食べない、利用しないという当たり前のことが案外できない。義理や付き合い、あるいはこれ(ここ)しかない、などの理由で「仕方なく」買う・使う、というケースも多いように感じる。それが「福島県の良さ」という見方もできるし、全否定するつもりはないが、結果「努力しない」県民性をつくってきたのも事実だろう。

 いま、福島県は震災・原発事故の影響で、四苦八苦している業界が多い。中には震災復興バブルに湧いている業界もあるが、いずれは終焉を迎える。

 そんな中で思い出したのが、樹研工業の「大を投じて大を成す」という発想である。こんな状況だからこそ、そういった大胆な発想と気概も必要だと思う。

(末永)

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