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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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最悪の事態は目の前に迫っている(2013年 9月号)

 7月23日、東京電力は福島第一原発敷地内で発生した汚染水が海に流出していることを認めた。

 ずいぶん前から原子炉建屋の地下には毎日400トンもの地下水が流れ込んでおり、核燃料の冷却に使用された水と混ざって汚染水が増え続けていた。政府試算によると、こうした汚染水が1日300トンも地中を伝わって海に流れているという。結局、原発事故直後から海は汚染され続けていたことになる。

 東電は岸壁近くの土を薬剤で固め遮水壁を造ることで流出を防ごうとしたが、かえって地下水の水位が上昇し、遮水壁を乗り越えて海に流れ出したため建屋地下に汚染水を戻す作業に追われている。原子炉建屋に入る前の地下水をくみ上げ、海に放出する「地下水バイパス」計画も検討しているが、漁業者の同意を得る必要があり、今後の見通しは不透明だ。

 汚染水対策の切り札として開発された放射性物質除去装置・ALPS(アルプス)は試運転中に故障が発覚し、いまだに本格稼働していない。さらに8月に入ってからは、高濃度汚染水を収容していたタンクの水漏れも相次いで判明した。もはや東電が当事者能力を失っているのは明白で、今後は国が前面に立って汚染水対策を打ち出していくべきだ。

 鉱研工業前社長で、数多くの地下水・温泉開発を手掛けてきた江口さんによると「地下水はあらゆる方向に流れていく可能性があり、チェルノブイリ事故では汚染された地下水が1000前幣緡イ譴織疋ぅ弔筌侫薀鵐垢砲泙巴した」という。このまま汚染水問題を放置すれば、深刻な海洋汚染を引き起こすばかりか、福島第一原発で汚染された地下水が東北地方、首都圏に広がり、飲料水や農作物、温泉などに被害が及ぶ可能性がある。最悪の事態はすぐ目の前に迫っている。

 原発事故直後、国土交通省や経済産業省からアドバイスを求められた江口さんは早急な地下水汚染対策を訴え、「ボーリング調査で地下水の流れを把握し、原発直下の岩盤の割れ目にセメントを流し込む『グラウト工法』で地下水脈を遮断すれば、早い段階で汚染は防げる」と大臣・官僚に説明した。だが、こうした対策が実現することはなく、その後も地下水問題は放置され続けた。なぜ国は江口さんの主張を無視したのか、次号以降で詳報する予定だ。

 国は福島第一原発周辺の土を凍らせ凍土遮水壁を造る方針だが、それでは汚染された地下水の拡散は止められない。まず地下水の流れや汚染状況を調査し、応急処置ではない抜本的な汚染水対策を打ち出す必要がある。もはや一刻の猶予も許されない。

(志賀)

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