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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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原発賠償未請求者を救え(2013年 11月号)

 この間の地元紙報道などによると、原発事故に伴う避難指示区域の住民約16万5000人のうち、約1万人が未だ東京電力への損害賠償請求手続きをしていないという。

 本誌でも何度か取り上げてきたが、民法では、損害・加害者を把握した時から3年間損害賠償請求権を行使しなければ、その権利は時効により消滅すると定められおり、間もなくその3年を迎える。もっとも、議員立法により、損害賠償請求権の時効延長が検討されているため、来年3月で消滅時効が成立することはなさそうだが、正式に延長が決まるまでは楽観できない。

 避難自治体の賠償支援担当者によると、誰が未請求かといった個別の情報は、東電では分かっているが、個人情報保護法の関係で、同社は自治体への情報開示に応じないのだという。そのため、自治体では未請求者を把握できず、個別の働き掛けができない状況に陥っている。

 浪江町によると、「そうした問題を解消するため、現在、国・東電と協議している」という。

 同町が昨年実施した損害賠償請求状況調査によると、未請求者は全体の2割ほどに上った。その理由は「自分の考えにより」、「訴訟を提起するため」という人が3割強ほどいた一方で、「請求方法不明」、「多忙等の理由により」、「高齢・病気により」という人が半数ほどを占めた。こうした傾向は、ほかの避難自治体でも大差ないと思われる。

 考えがあって請求していない人はともかく、請求する意思があるにもかかわらず、請求方法不明、高齢・病気などを理由に請求していない人への支援策は考えなければならない。

 ただ、前述したように、個人情報保護法の問題があり、自治体では未請求者を把握できていない。避難先が広範にわたっているため、周知が難しいという課題もある。各自治体では、広報などで未請求者に対する呼び掛けを行っているが、いまの避難自治体の広報は情報量が多いため、そうした呼び掛けが埋没してしまっている可能性もある。

 中には、賠償請求できるということ自体を理解していない人もいるというが、避難指示区域の住民は全員にその権利があることをあらためて伝えたい。

 いま、避難指示区域を抱える自治体は、どこも賠償支援のためのセクションを設けている。役場に電話し、「賠償のことで相談したい」と言えば、担当職員がていねいに教えてくれるはずだ。何なら、本誌に相談を寄せてもらっても構わない。

(末永)

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