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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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ようやく"本音"で議論できる(2013年 12月号)

 今号で通巻500号を迎えた。この間支えて下さった読者・広告主にあらためて感謝申し上げたい。

 11月22日、政府が福島第一原発周辺の土地約15平方舛鯒磴ぞ紊欧詈針を明らかにした。空間線量が高く、帰還困難区域に指定されているエリアを国有化することで、中間貯蔵施設の建設を急ぎ、県内の除染の加速化を図る狙いがあるという。

 本誌ではこの間、「空間線量が高い福島第一原発周辺は帰還断念も考慮すべきだ」と主張してきた。山林も含めた膨大な面積の汚染地域を安心して生活できる線量まで除染するには、数千億円規模の予算と相当な時間がかかるからだ。

 場所によっては一度除染しても線量が戻って再除染が必要になることもあるだろうし、水道、ガス、電気などのインフラ、医療体制などを整えなければ生活できない。多額の税金を投じて帰還準備を進めるのなら、いっそのこと、新天地で出直すための資金として配った方が住民の幸せにつながるのではないか、と。同様の意見は双葉・大熊両町民からも聞かれていた。

 除染や賠償がだらだら続くことで、かえって原発被災者の就労意欲が下がり、生活再建の見通しが立ちづらくなっていると指摘する声もあった。政府が腹をくくって国有化の方針を打ち出したことで、ようやく猖棆鮫瓩乃掴世任る。

 今後必要となるのは、地権者や近隣住民への補償・移住支援だ。地権者は数千人に上り、買い上げ費用として約2000億円が見込まれている。代々続いた土地を失い、永久に故郷を失うのだから、政府は相応の補償と支援を約束しなければならない。

 昨年、原発被災者を取材した際に多く聞かれたのは「町内に中間貯蔵施設ができれば、現実的に帰還はあきらめざるを得ない」という声だった。そうした人の土地も同じように国有化するのか。土地を売却した後の地権者は町民として扱うのか。こうしたことに関するルールはまだ決まっていない。

 帰還断念が限りなく現実のものになろうとしているいま、「国に故郷を奪われた」と後から後悔しないためにも、地権者は政府としっかりと交渉し、曖昧な点を詰めておく必要がある。

 鍵を握るのは地元自治体の支援だ。石原伸晃環境大臣は12月以降、佐藤雄平知事や双葉・大熊両町長に中間貯蔵施設建設の同意を正式に要請するという。政府の言うことをそのまま受け入れるのではなく、住民に代わって希望や条件を強く主張していく姿勢が求められる。

(志賀)

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