ホーム
バックナンバー
ウェブ連載「巻頭言」
ウェブアーカイブ New
政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
ご挨拶/会社概要
株式会社東邦出版
福島県福島市南矢野目鼓原1-2
TEL:024-554-6101(代表)
FAX:024-554-6103
Email:info@seikeitohoku.com

特定秘密保護法が浮き彫りにしたもの(2014年 1月号)

 悪評高い特定秘密保護法が昨年12月13日に公布された。同法は今後1年以内に施行される。

 マスコミの立場からすると、取材・報道の自由が侵害され、結果、国民の「知る権利」が脅かされる問題点があるが、最も問題視すべきは、秘密指定の基準があいまいで、時の政府や役人が恣意的な指定を行う恐れが高いことだろう。

 特に役人は、自分たちにとって都合の悪い情報は隠したがる習性がある。「これは特定秘密にした方がいい」などと、国家機密とは無関係なのに拡大解釈して指定する可能性は十分考えられる。

 思い出してほしい。震災後、復興関連予算が被災地とは全く無関係な場所で浪費されていたことを。役人が「この事業は復興と十分関係している」と強弁していた姿を。われわれは、役人が拡大解釈を得意とすることをすでに学んでいる。

 安倍首相は第三者機関を設け、チェック体制を整えるというが、特定秘密は30万件とも40万件とも言われ、これを一つずつチェックするのは容易な作業でない。多数の中に紛れ込ませ、チェックの網をすり抜け、秘密のまま闇から闇に葬られていく「不都合な情報」は絶対に出てくると断言できる。

 この間、われわれは情報関連法で一度窮屈な世の中を味わっている。個人情報保護法では、本来公開しても差し支えないと思われる情報が非公開とされるケースが少なくなかった。一方、情報公開法は十分機能しているとは言い難い。本誌も開示請求して受け取った公文書がほとんど"黒塗り"だった経験を何度もしている。いずれの法律も、役人の恣意が入り込む余地が多分にある。

 昨今の国際情勢を踏まえれば、特定秘密保護法が不要とは言わないが、こうした状況で施行されればますます窮屈な世の中になるのは避けられまい。

 国民にとって悲劇なのは、このような悪法を数の論理で押し切った自民党にノーと言いたくても言えないことだ。国会には同党に代わり得る政党が見当たらない。民主党は凋落し、みんなの党や維新の会は同法成立で自民党にすり寄った。国民は期待ばかりさせて結果を出せない新党にシラけ切っている。これでは政治不信は深まるばかりで、国民がそっぽを向いている間に、自民党や役人のやりたい放題が一層助長される恐れもある。

 特定秘密保護法は、その内在する危うさだけでなく、役人の習性や日本の政治が負のスパイラルに陥っていることをあらためて浮き彫りにした。施行を急ぐのは、やはり危険である。

(佐藤)

巻頭言一覧に戻る