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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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「風化」と向き合う(2014年 3月号)

 震災・原発事故から間もなく3年が経過する。

 原発事故に関してはテレビの全国ニュースで報じられることが少なくなり、「風化」を感じるようになった。県内のテレビや地元紙では毎日報じているから「中央との温度差を感じる」と表現するのが正確かもしれない。

 放射性物質の影響や風評被害に振り回された県民としては原発再稼働など考えられないが、どうも中央ではすっかり忘れてしまったらしい。安倍政権は発足当初から、原子力規制委員会の安全審査を経た原発を再稼働させる方針を打ち出している。年度内にも閣議決定される国の中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」の政府素案でも、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けている。

 東京都知事選で即時原発ゼロを主張した候補が敗れたことが追い風になった。爛侫シマ瓩龍儀韻論犬されることなく、原発事故が起きたときの対策や核のゴミの最終処分の道筋について十分議論されないまま、再稼働への道を突き進む。

 自民党内の原発推進派議員による「電力安定供給推進議員連盟」は着々と勢力を広げており、昨年12月には原発の新増設とリプレース(新型への置き換え)を求める提言を政府に提出した。無邪気に原発再稼働を主張する姿を見ると埋めがたい溝を感じる。副会長には福島5区選出の坂本剛二衆院議員が名を連ねているからなおさら絶望感が深まる。

 「風化」について強く考えさせられた話がある。

 南相馬市のある商工関係者が、視察に来た官僚に対し「交通インフラが寸断されているので時間的ロスが大きい」と訴えたところ、「確かにここまで来るのに不便だと感じたが、この程度時間がかかるのが普通だと思っていた」と返されたという。つまり、もともと南相馬市は不便な地域という考えを持って訪れたので、復興すべきポイントがどこなのか分からなかった、と。

 中央との間には温度差があることをあらかじめ理解し、同じ価値観になれるよう努めることが、4年目以降の復興の大きなポイントになる気がする。

 そのためには、中央側に共感を求めるだけでなく、県民が自らの思いや生活実態、経済復興の現状などをしっかり発信していくことも重要だ。例えば、原発再稼働に対する懸念、放射性物質への意識や対策など、県民にとっては当たり前すぎて話題に上らないことでも、外部に向けてあらためて伝える必要があるのかもしれない。

 本誌にできるのは1つ。そうした県民の声をできるだけ取材し、多くの人に伝えることだ。

(志賀)

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