ホーム
バックナンバー
ウェブ連載「巻頭言」
ウェブアーカイブ New
政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
ご挨拶/会社概要
株式会社東邦出版
福島県福島市南矢野目鼓原1-2
TEL:024-554-6101(代表)
FAX:024-554-6103
Email:info@seikeitohoku.com

切り札がモロすぎる(2014年 4月号)

 福島第一原発で増え続ける汚染水対策の切り札とされる「多核種除去設備(ALPS)」でトラブルが相次いでいるのは、県民なら周知のことだろう。

 ALPSは汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、62種類を取り除くことができる。こう書いている時点で1種類が取り除けないのだから、これで切り札と呼べるのかは甚だ疑問だが、唯一取り除けないトリチウムは、実は原発事故前も法定基準を下回れば海に放出していた。人体への影響が少なく、仮に摂取しても骨などに蓄積せず、短期間で体外に排出されること等が理由にあるらしい。しかし、現状下で海に放出すればさらなる風評を招き、漁業者が反発するのは必至である。

 政府は処理方法を検討中だが、結局、トリチウムを含んだ猊坿袷瓦幣化水瓩郎8紊發靴个蕕の間、地上タンクに溜め続けなければならない。

 そのタンクは3月中旬現在、原発の敷地内に約1100基林立している。先月号でも書いたが、このままタンクが増え続ければ設置スペースは失われてしまう。周辺に予定される中間貯蔵施設の敷地にタンクがせり出してくる恐れもゼロではない。

 東電や政府の計画では、すべてのタンクの汚染水を平成26年度内に浄化するとしている。そのため4月以降、ALPSをA、B、Cの3系統で本格稼働させ、10月以降、さらに3系統を増設する。1系統の処理能力は1日250鼎覆里如■況賄すべてが稼働すれば1500鼎留染水を処理できる。ここに、政府が1日500鼎僚萢能力を有する高性能ALPSを設置し、最大で2000鼎僚萢を可能にするという。

 とはいえ、この見積もりはあくまでトラブルが起きないことが前提であり、これまで何度もトラブルに接してきた県民からすると机上の空論でしかない。早速、3月中旬にはALPSの1系統で、処理したはずの水から放射性物質が1氾たり1100万ベクレル超も検出され、浄化水を保管していたタンクに汚染水が流入した可能性があることが判明した。

 廃炉に向けた道のりは長いのに、肝心の汚染水対策がこの有り様である。ここに「世界の英知」は本当に結集しているのかと疑いたくなる。

 このままALPSに頼るしかないのか、それともALPSにこだわらなければならない事情でもあるのか。いずれにせよ、汚染水対策の切り札という割には、あまりにモロすぎると言わざるを得ない。ALPSを稼働させながら、別の装置・対策を同時並行で準備する必要があるのではないか。

(佐藤)

巻頭言一覧に戻る