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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
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福島県に先はあるか(2014年 6月号)

 有識者らでつくる民間研究機関「日本創世会議」の試算によると、2010年に202万9064人だった福島県の人口は、2040年に141万6587人まで減少するという。特に20〜30代の出産適齢期の女性の減少率が大きく、10年21万7815人から40年10万9241人と半減する見込みだ。

 試算は地方から大都市への人口流出を想定したもので、震災・原発事故の影響を含めればおそらくもっと著しい減少率になるのだろう。

 同会議では魅力ある地方の拠点都市をつくり東京一極集中を是正すること、出生率を上げるなどの対策を提言しているが、原発事故の影響が大きい福島県においては「県民が『先がある』と実感できるかどうか」が重要だ。

 例えば、雇用に関しては有効求人倍率1・36倍(3月現在)と高くなっているが、数値を押し上げているのは建築・土木、道路交通誘導員、トラックドライバーなど、復旧工事や除染作業関連の職種。復旧工事や除染作業はいつまで続くのか、どれだけの期間働けるのか、保証は無い。

 国は浜通りに「福島・国際研究産業都市」を設ける構想を打ち出し、県は医療関連産業や再生可能エネルギーなどを経済復興の柱にしていく考えだが、具体的な形はまだ見えてこない。県が優位に立てる産業を立ち上げ、関連企業を誘致して、「これで当面食っていける」と思わせる仕事を提供できなければ、県民の県外流出は増える一方だ。

 ある学習塾関係者は、首都圏から県内に転校してきた中学生の母親に「前の塾では『将来は東大確実』と言われていましたが、こちらでは東大受験はあきらめざるを得ないでしょうね……」とため息をつかれたという。それだけ県内の教育レベルは低く見られているということだが、教育以外でもスポーツ、芸術、文化、芸能など「県内にいたのでは先がない」と県外に出ていった人は数知れずいる。

 もちろん、人口減少を抑えるため少子化対策などに力を入れるのも重要だが、原発事故の影響が残る上、仕事も教育も充実していない場所に誰も住みたいと思わない。原発事故に翻弄された地域だからこそ、将来に希望が持てる環境づくりに取り組み、ビジョンを積極的に打ち出していく必要がある。

 「先がある」と思える県にできるかどうかは、トップの手腕にかかっている。11月には県知事選が控えている。34頁でリポートしている通り、現時点で立候補予定者はまだ固まっていないが、県民に確かな未来を提示できる人の登場に期待したい。

(志賀)

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