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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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月刊政経東北
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眠る再生エネを活用せよ(2014年 10月号)

 東北電力は9月25日、再生可能エネルギーの電力を買い取る契約の受付中断を検討する考えを明らかにした。再生エネの固定価格買い取り制度は、国が定める固定価格で一定期間、電気事業者に買い取りを義務付けるもので平成24年7月にスタート。それまで再生エネはコスト高等を理由に浸透してこなかったが、原発事故を受けて見直され、同制度の導入も追い風となって急速に普及が進んだ。

 県内でも、ゴルフ場や工業団地にメガソーラーが建設され、狭い空き地にも太陽光パネルが並ぶ。福島県沖では洋上風力発電、温泉街ではバイナリー発電、磐梯山周辺では地熱発電も検討されている。

 原発廃炉を求める福島県で、さまざまな再生エネの普及・開発が進むのは歓迎すべきことだ。そこに水を差すような、東北電力の買い取り受付中断の示唆。この前日には、九州電力も同制度に基づく契約の受付を中断すると発表したばかりだった。

 会社側の説明によると、電力を安定供給するには需要とのバランスを保つ必要があるが、とりわけ太陽光発電の急増でこのまま供給量が増えた場合、需要を上回って停電や電気の質悪化を招くという。

 ちなみに、東北電力管内で国の設備認定を受けた再生エネは5月末現在1149万キロワット。一方、今夏の最大需要実績は1360万キロワット。この認定設備がすべて稼働すれば、夏のピーク時の8割近くの電力を再生エネでまかなえる計算になる。

 もっとも、現実は設備認定を受けただけで、稼働していない再生エネがほとんど。背景には、買い取り価格が減額される前に認定だけを取り、多くが未稼働のままになっている事情がある。実際、全国の未稼働の太陽光発電設備は昨年の1万8000メガワットから今年は5万8500メガワットと3倍以上に増えた。

 すなわち、これら眠っている再生エネが一斉に稼働したら、供給が需要を一気に上回るため無制限に買い取れない――これが会社側の契約受付中断の言い分だが、見方を変えれば、これだけ未稼働の再生エネが存在するなら、原発に頼らなくても十分電力をまかなえる、ということでもある。

 この"潜在能力"を生かすには、送電網の増強、蓄電池の整備、管外への余剰電力供給といった対策が必要だが、原発の再稼働に多額の整備費をかけるなら、再生エネを余すことなく使うための技術投資に振り向けた方がよっぽどいい。国(政治家)と電力会社は、原子力規制委員会の再稼働審査に一喜一憂するのではなく、再生エネによって原発依存度を早急に低めることに知恵を絞るべきだ。

(佐藤)

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