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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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賠償打ち切り案を示した国・東電の真の狙い(2015年 2月号)

 国(経済産業省資源エネルギー庁)と東京電力は昨年12月25日、原発事故に伴う営業損害賠償について、原発事故から5年となる28年2月で打ち切る素案を示した。

 これに対し、県内の自治体や商工団体からは反対の声が上がっている。いまの福島県の状況を考えると、原発事故の被害は完全には収まっていない。被害が継続しているにもかかわらず、賠償を打ち切る方針が示されたのだから、反対意見が出るのは当然である。被害者として「被害が続いているうちは賠償を継続すべき」ということを訴えていかなければならないし、実際に賠償継続を求め、国・東電に要望を行う動きが活発化している。

 そうして賠償継続を求めていくことはもちろん重要だが、その際、1つ留意して置かなければならないことがある。

 政府は昨年、川内村の避難指示解除準備区域を解除し、同時に同村の居住制限区域を避難指示解除準備区域に再編した。当初、政府は昨年7月26日付で解除・再編することを提案したが、住民の反発があり、最終的に昨年10月1日に解除した。同様に、昨年12月28日には南相馬市の特定避難勧奨地点を解除した。これも、当初は昨年10月中に解除する方針だったが、住民の反発を受け、12月に繰り延べた経緯がある。

 避難指示解除は、それから一定期間後に賠償が打ち切られることを意味するため、「まだ安心して生活できる環境になっていない。そうした中、無理やり戻され、賠償を打ち切られては困る」として、対象住民から反対意見が出ることは分かりきっていた。そんな中、いずれも当初予定時期を見送り、数カ月繰り延べをして避難指示を解除した。

 「避難指示解除」と「賠償打ち切り」では事情が違うものの、今回の営業損害賠償打ち切り案についても、地元関係者から反対意見が出ることは容易に想像できた。前述の例からいくと、おそらく、国・東電は「28年2月に打ち切る」と提案しても、最初からその通りにはいかないと思っているに違いない。

 つまり、国・東電の真の狙いは「28年2月打ち切り」ではかく、例えば、賠償期間を1年延長して29年2月までとし、「当初の予定より1年間延ばしたのだから、もういいでしょう」ということ。この間の例を見ると、そこまで想定したうえで、とりあえず「28年2月」と提案してきたと疑わなければならない。

 われわれ被害者は、そうした"術中"にはまらぬように注意しながら、国・東電にしっかりと物申していかなければならない。

(末永)

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