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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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三権分立は生きていた(2015年 5月号)

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働をめぐり、住民有志が再稼働差し止めを求めた仮処分申し立てで、福井地裁(樋口英明裁判長)は4月14日、再稼働を認めない仮処分決定を下した。同地裁は、原子力規制委員会の新規制基準について「緩やかにすぎ、合理性がない」と指摘し、新基準に適合していても安全性は確保されないとした。原発運転差し止めを認めた仮処分決定は全国初めて。

 高浜原発3、4号機は原子力規制委の審査をクリアしており、関電は地元同意を経て再稼働する方針だったが、仮処分決定は直ちに法的拘束力を持つため、今後、司法手続きでこの決定が覆らない限り、再稼働することはできない。

 実は、樋口裁判長は福井県の住民団体「福井から原発を止める裁判の会」が関電を相手取り、大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の運転差し止めを求めた訴訟も担当しており、昨年5月21日、現在定期検査中の2基の再稼働を認めない判決を下した。福島第一原発事故後、原発の運転差し止めを認めた判決は初めてで、「画期的な判決」として評価されることも多かった。

 一方、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働差し止めを求めた仮処分申し立てでは、鹿児島地裁(前田郁勝裁判長)が4月22日、申し立てを却下する決定を出した。福井地裁と判断が分かれる格好となった。

 とはいえ、福井地裁が出した司法判断は非常に大きい。過去に、原発をつくるときも、さまざまな裁判があったが、裁判所はことごとく国側の言い分を認めてきた。それゆえ、原発事故以降、原発再稼働を求める訴訟・仮処分申し立てが各地で行われているが、「司法は国の方針(原発再稼働)を追認するのではないか」、「司法は事実上、国の附属ではないのか」という漠然とした疑念があったのは否めない。その点、今回の仮処分決定により、日本の司法、三権分立は生きていたことが証明できた。

 以前、被災者支援をしている人が「いま原発被災者を苦しめているのは原発再稼働問題だ」と語っていた。要するに、原発被災者は「われわれがこれほど苦しんでいるのに、犠牲者を差し置いて原発を再稼働させるのか」、「われわれ犠牲者より、(原発再稼働により)利益を受ける人の方が大事なのか」という思いを抱いているということだ。そういう意味では、今回の福井地裁の決定によって、原発被災者も多少は救われたのではないか。

 どんなに厳しい基準を設けても、それで絶対安全ということはあり得ない。それが福島第一原発事故の教訓だ。政府には、福井地裁の決定を重く受け止めると同時に、原発政策の見直しを求めたい。

(末永)

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