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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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10兆円は下らない原発事故の後処理費用(2015年 11月号)

 東京電力と原子力損害賠償支援機構(現在は原子力損害賠償・廃炉等支援機構)は、23年10月に総合特別事業計画を策定し、それに基づき、原発賠償を実施している。当初計画では、賠償にかかる費用は1兆0109億円と算定されていたが、この間、何度か同計画が改正され、要賠償額は1兆7003億円(23年12月)→2兆5462億円(24年3月)→3兆2430億円(24年12月)→3兆9093億円(25年5月)→4兆9088億円(25年12月)→5兆4214億円(26年7月)→6兆1252億円(今年3月)となり、今年7月に承認された最新の計画では7兆0753億円まで増えた。なお、今年10月23日現在で、東電が個人、法人・個人事業主に支払った原発賠償金は5兆5869億円に上る。

 こうした経緯を見ると、要賠償額は今後も増えることが予想される。そのほか、廃炉費用や中間貯蔵施設の建設費用などを含めると、原発事故の後始末にかかる費用は10兆円を超えるのは間違いない。

 一方、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査は、仝胸厦Щ楡澆琉銘屐構造、設備、原子炉設置者の技術的能力などを審査する「設置許可基準審査」、原子炉施設の詳細設計、設計・工事に係る品質管理の方法などを審査する「工事計画審査」、8胸厦Щ楡澆諒欅造里燭瓩防要な措置が、核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物、発電用原子炉による災害の防止上、十分かを審査する「保安規定審査」――の3つをクリアすれば「合格」となる。

 原子力規制委はこれを「世界で最も厳しい基準」としているが、それで絶対安全ということはあり得ない。「想定外のことが起こり得る」、「絶対はあり得ない」ということが福島原発事故の教訓だからだ。

 福島原発事故後、国内の全原発が運転停止した。24年7月に関西電力の大飯原発(福井県おおい町)3、4号機が一時的に再稼働したが、翌25年9月に運転停止し、以降、原発ゼロが続いた。その後、今年8月に九州電力の川内原発(鹿児島県薩摩川内市)3号機、10月に同原発2号機が再稼働した。さらに、四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)3号機も再稼働が秒読みに入っている。

 前述のように、どんなに厳しい審査基準を設けても、それで絶対安全ということはないから、この国はまた原発事故のリスクを背負ったことになる。ひとたび深刻な事故が起きたら、その後始末費用は10兆円は下らない。それでも、原発を再稼働するのであれば、電力会社に10兆円を供託させることを条件にすべきだ。

(末永)

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