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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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原発作業員のさらなる労働環境改善を(2016年 1月号)

 今後の復興を大きく左右する1つが事故を起こした福島第一原発の廃炉だ。11月下旬、福島商工会議所が主催する原発視察に参加したが、そこで感じたのは廃炉に携わる作業員たちの過酷な労働環境だ。

 視察団は用意された手袋とマスクを付け、靴にビニールカバーをはめた以外は普段着のままだった。やや拍子抜けしたが、その格好で専用バスに乗り込み原発構内を回ると、外で作業する人たちは皆白い防護服を着て、顔を全面マスクで覆っていた。いまは寒いので苦にならないが、真夏は熱中症の危険が伴うし、視野の狭さ、会話の困難も加わって作業効率が極端に落ちることが容易に想像された。

 案内してくれた東電社員によると、土の部分や木が植えてあった部分は舗装(フェーシング)し、さらに除染を行ったことで放射線量はだいぶ下がったという。それでも免震重要棟の前は9マイクロシーベルト(毎時、以下同)あると言うし、構内に設置された線量計を見ると7〜9マイクロシーベルトを表示している。

 4つある建屋のうち今回は4号機の目の前まで近付いたが、一帯は20マイクロシーベルト。建屋に着く前には急な坂道を下ってきたが、そのカーブ付近は最大100マイクロシーベルトあったものの、除染してモルタルを吹き付けたことで13マイクロシーベルトまで下がったという。確かに8分の1近く下がったが、それでも平時ではあり得ない放射線量である。東電社員によると、3号機の建屋前では300マイクロシーベルトの個所もあるというから唖然とした。

 そんな場所で、建屋周辺に凍土遮水壁をつくるための装置を設置する作業員の姿があった。被曝量と累積放射線量はきちんと管理されているから、この場所で作業できる時間は分かっているはずだが、将来健康被害は出ないのか、そうなったとき東電は補償に応じてくれるのか、不安は尽きないはずだ。

 入退域管理棟では仕事を終えた作業員が帰りのバスを待つ列をつくっていたが、待ち時間は少ない方がいいだろうし、そもそも行き帰りに渋滞に巻き込まれたらそれだけでストレスになる。渋滞回避の工夫や宿舎・寮の位置も重要だ。5月には9階建ての大型休憩所が完成したが、作業員数の急増に伴い早くも手狭になっているという声もある。

 本誌にコラムを連載中の作業員・サニーさんは労働環境の改善をしきりに訴えていたが、当初よりはかなりマシになったものの、平時と比べたらまだまだ過酷。廃炉作業の成功は1日7000人にも上る作業員の取り組みにかかっている。東電にはさらなる労働環境の改善を求めたいし、それが長期にわたる廃炉の安心・安全にもつながる。

(佐藤)

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