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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
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卑劣な手段で原発再稼働(2016年 2月号)

 昨年4月14日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働をめぐり、福井県の住民グループ「福井から原発を止める裁判の会」が再稼働差し止めを求めた仮処分申し立てで、福井地裁(樋口英明裁判長)は再稼働を認めない仮処分決定を下した。この決定を出した樋口裁判長は、同グループが関西電力を相手取り、大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の運転差し止めを求めた訴訟も担当し、26年5月21日、再稼働を認めない判決を下した。

 実は、この樋口裁判長、現在は名古屋家裁に異動になっている。言うまでもなく、先の決定・判決に対する左遷人事である。

 その後、関西電力が申し立てた異議審で、福井地裁(林潤裁判長)は昨年12月24日、高浜原発の運転差し止め決定命令を取り消した。さらに、大飯原発については運転停止を認めない決定を下した。樋口裁判長を追いやり、別な裁判長の下で先の決定は覆され、原発再稼働が可能になったのである。国はそういう卑劣な手段を用いてでも、原発を再稼働させたいらしい。なお、この決定を受け、関西電力は1月29日に高浜原発3号機を再稼働させた。

 以前、避難指示区域の住民グループが国・東電を相手取り訴訟を起こした際、支援弁護団の関係者が次のように語っていた。

 「『原発再稼働は認めない』との判決を出した福井地裁の樋口裁判長は、その後、名古屋家裁に異動させられた。要するに、離婚の調停だけやっていなさいということ。それが国のやり方です。これから皆さんは、そういう(汚いことをする)国と戦っていかなければなりません。長く厳しい戦いになると予想されますが、一緒に頑張っていきましょう」

 本誌は、昨年5月号の巻頭言で、「三権分立は生きていた」と書いた。原発事故以降、再稼働停止を求める訴訟などが各地で行われているが、「司法は国の方針(原発再稼働)を追認するのではないか」、「司法は事実上、国の附属ではないのか」といった漠然とした疑念があった中、冒頭の福井地裁の決定を受け、そう称したのである。

 ところが、その後の経過を見ると、前述の疑念の通りになったと言わざるを得ない。

 福井地裁の決定に対し、住民グループは高浜原発3、4号機の運転差し止めを求める訴訟を、原発事故から5年の節目になる3月11日に提起する方針を示している。だが、一連の経過を考えると、この状況を変えるのは簡単ではないだろう。もはや、国の卑劣な手段に対抗する有効な術はないのか。

(末永)

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