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「原発事故から5年」に思う(2016年 5月号)

 今年の3月11日で、原発事故から丸5年を迎えた。そんな中で思うことを述べていきたい。

 まず、最初に感じるのが「5年」という節目が、この問題を終わらせたいと考えている人たちに、いいように利用されていること。その代表例が原発賠償の問題だ。本誌2、3、4月号でリポートしたように、県内事業者に支払われている営業損害賠償は、昨秋から新制度が適用されているが、東電は「多くの業種でいわゆる風評被害は発生していない」とのスタンスで、当初示していた賠償基準に基づく満額の支払いに応じないケースが多発している。ところが、本誌が各事業者の個別事情を取材すると、どう考えても原発事故と相当因果関係があると思われるものばかりだった。

 以前、ある商工団体の関係者が「東電と賠償交渉する中、東電の担当者は口には出さないが『この間、賠償してきたんだから、もういいでしょう』といった雰囲気がアリアリだった」と話していた。そこからしても、5年という節目がいいように利用されていることがうかがえるが、5年間賠償してきたからもういい」などという理論はあり得ない。何年経とうが、被害が続く限りは賠償を続けるべきだ。

 もう1つ感じるのは、原発被災地では5年が経ったいまも被害が進行中であるということ。最近では、南相馬市や葛尾村で避難指示解除の議論が出ているが、対象者に話を聞くと、「帰りたいけど帰れる状況にない」「いつまでこうした状況が続くのか」と、先が見通せない苦悩が浮かび上がった。中には、すでに腹を決めた人もいるが、どんな選択をしても、苦労は絶えないだろう。

 震災関連死(自殺)の累計を見ても、岩手・宮城両県は震災から最初の1、2年で大きく増え、それ以降は微増となっており、3年目以降は落ち着いていることがうかがえる。これに対し、福島県は3年目以降も大きく増え続けており、対象者の大多数が原発事故の避難指示区域を抱える市町村で占められることが分かっている。こうしたデータを見ても、5年が経ったとはいえ、原発事故はまだ終わっておらず、未だに被害が続いているのは明白。

 最後に、もう1つ付け加えておきたいのが、中間貯蔵施設の問題だ。当初、国は27年1月から中間貯蔵施設を稼働させる方針だった。4月から保管場への本格輸送が始まったが、当初目標から1年以上が経っても、本格稼働の見通しは示されず、まだ時間がかかるとみられる。国(環境省)はこの5年間、一体何をしていたのかとの思いも拭えない。

(末永)

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