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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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避難指示解除議論の問題点(2016年 8月号)

 原発事故に伴う避難指示区域の解除が活発化している。6月に葛尾村と川内村、7月に南相馬市で解除され、そのほかの地域でも帰還困難区域を除き、来年3月を目標に解除される見通しが示されている。

 避難指示解除に当たり、国はゞ間線量率で推定された積算線量が年間20ミリシーベルト以下、日常生活に必要なインフラや生活関連サービスがおおむね復旧し、子どもの生活環境を中心とする除染作業が十分に進捗すること、8、市町村、住民との協議――の3つを条件としている。

 ただ、「年間20ミリシーベルト以下」については疑問を抱く住民も多く、住民説明会でもこれに関する質問は多数出る。もっとも、これまでの解除例を見ると、20ミリシーベルトすれすれ、例えば19ミリシーベルト前後で解除されたところはないと思われるが、この表記を見ると、「20ミリシーベルトを少しでも下回れば解除される」との印象を持ってしまう。

 たとえ、国がその考えでも、市町村独自でさらに厳格な基準を定めることは可能だろう。例えば、食品に関しても、国の基準では1キロ当たり100ベクレル以下とされているが、生産団体や小売店によっては、20ベクレルや30ベクレルという具合に、さらに厳しい独自基準を設け、少しでも消費者が求めやすいような取り組みをしている。

 解除基準についても同様に、「国の基準では20ミリシーベルトとなっているが、当町(村)では(例えば)5ミリシーベルト以下になるまでは解除に応じない。そのうえで、早期に1ミリシーベルト以下になるよう、解除後も国に対応を求めていく」などと宣言すれば、住民の理解も進むのではないか。

 3つ目の「県、市町村、住民との協議」についても異論がある。これについては、南相馬市の住民が国に「実際は住民との協議は行われていない」とクレームを付けたことがあるという。その影響もあってか、その後の同市の住民説明会資料には「※例えば、市民説明会や戸別訪問等も、住民の方々との協議の一環です」という注釈が付けられた。

 「説明会も協議に含まれる」というが、実態は説明会で単に意見を聞いただけ。本来なら、そこで出た住民からの意見・要望を整理し、すぐに実現・解決可能なもの、時間はかかるが実現・解決可能なもの、実現・解決が困難なもの――等々に分類して再度話し合いを持つ、というのが協議ではないのか。でなければ協議とは言えまい。

 これから避難指示解除される自治体は、こうした点に留意しつつ議論を進めてもらいたい。

(末永)

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