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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
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原発災害の新たな局面(2016年 11月号)

 この5年半余、幾度となく原発事故の被災地に足を運んできた。そんな中で、原発事故の影響が最も強く残っていると感じるのが南相馬市である。同市は市内南部の小高区が避難指示区域に指定された(※現在は解除済み)ほか、いわゆる自主避難者も相当数おり、多くの住民が避難した。さらに、同市にとって双葉郡北部は商圏・通勤圏だったが、それら地域も避難指示区域に指定されている。結果、同市は多くの消費者・働き手を失うことになった。その影響は大きく、いま生活の実態がある地域の中で、最も原発事故の影響が残っていると断言できる。

 そんな同市でいま、新たな問題が取り沙汰されているという。

 1つは人手不足にさらに拍車がかかっていること。ある関係者によると、「この地域は、もともと人手不足が顕著だったが、それでも、各企業はでき得る限りの努力をして人材を確保してきた。ただ、その多くが年配の人で、最近ではそういう人たちが『息子が避難先で家を建て、こっちに来いと誘われたから、そうすることにした』というような話が増えてきた。それにより、ますます人手不足に拍車がかかっている」という。

 もう1つは、いま同市では「近い将来、コンビニが潰れる」と囁かれているのだとか。同市には各種復旧・除染などの作業員がよそから多数入っており、朝・昼・夕時になると、スーパーやコンビニはそれら作業員でかなりの賑わいを見せていた。それをアテにしたと思しきコンビニの新規出店もあった。ただ、最近は復旧・除染作業が一段落し、作業員の撤収が顕著になってきたというのである。同市において、作業員による食料品や日用品の需要は大きく、それがなくなる影響の大きさを表す象徴として、「近い将来、コンビニが潰れる」と囁かれているわけ。

 要するに、震災・原発事故から5年半余を経て、その影響が形を変えてきているということだ。関係者らは「これにより、さらに厳しさが増す」と懸念している。

 一方で、震災・原発事故から5年半余が経ち、新たな局面を迎えているのは、同市に限った話ではない。本号40頁からの記事で詳報しているが、これまで県内経済を支えてきた復興特需は一段落しつつあるし、原発賠償や各種支援策も徐々に縮小・打ち切りが進められている。それらの影響は少しずつ目に見えるようになってきた。

 そういう意味では、震災・原発事故からの復興はこれからが真の正念場と言える。

(末永)

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