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復興とは何か(2017年 2月号)

 原発事故に伴う避難指示区域の解除が大詰めを迎えている。この春には、川俣町山木屋地区、浪江町、富岡町、飯舘村の4町村で、帰還困難区域を除き、避難指示が解除される予定となっている。今後の住民説明会などで、延期を求める声が出る可能性もあるが、それでも、そう遠くない時期にこれら地域の避難指示解除が実施されるのは間違いない。

 この4町村の避難指示解除が完了すれば、残る避難指示区域は双葉・大熊両町をはじめとする帰還困難区域のみとなる。

 政府は、27年6月に「福島復興指針」を改定し、その中で、避難指示解除準備区域と居住制限区域は29年3月までに解除する、との方針を示した。そこから多少の遅れはあっても、ほぼ政府の思惑通りになったと言える。

 一方で、現実に目を向けると、避難指示解除されても地域復興への道のりはかなり険しい。

 以前、避難指示区域の住民と、ちょっとした議論になった。テーマはズバリ「復興とは何か」。法的縛り(国による避難指示)をなくすこと? 放射線量が以前の数値に戻ること? 商店や医療・介護施設などの生活関連インフラなどが再構築されること? どれも重要なことには違いないが、それらすべてが満たされたところで復興は果たせない。たどり着いた答えは、「当たり前に代替わりができるようになること」だった。

 これまでに、避難指示解除された地域を見ると、かつては、高齢夫婦、息子(娘)夫婦、その子どもの3世代が一緒に住んでいたが、いまは高齢夫婦だけが戻り、息子(娘)夫婦とその子どもは、別の土地で新たな生活を始めたというケースが多い。その結果、10年後、20年後、高齢夫婦が亡くなったら、その家には誰もいなくなる、ということが起こる。

 これでは復興に向かっているとは言えないから、「復興=当たり前に代替わりができるようになること」といった結論に至ったわけ。言い換えると、復興には「環境」も重要だが、それ以上に「人」が重要だということだ。

 この間の避難指示解除の例を見ると、国は必ず「帰還できる環境が整った」と言い、避難指示解除を押し進めてきた経緯がある。ただ、地域を復興させることを前提として、前述の物差しで言うなら、すでに解除済みのところも、これから解除となるところも、本当の意味で復興を果たせる「環境が整った」地域は1つもない。「帰還できる環境」ではなく、「復興できる環境」を整えることが何より重要だ。

(末永)

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