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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
続・事件屋 竹内陽一氏の仮面を剥ぐ
月刊政経東北
政経東北速報解説版
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おごりが招く終わりの始まり(2017年 7月号)

 世界各国の「言論と表現の自由」について報告書をまとめている国連人権理事会のデービッド・ケイ特別報告者は今年4月、日本の状況を調査し、政治的に公平であることを定めた放送法(第4条)の改正、記者クラブ制度の廃止、政府からの独立性を担保するためジャーナリストの横断的組織を設立することなどを提言した。

 ケイ氏は多くのジャーナリストやメディア関係者から「政府のデリケートな問題について独立性を保って報道することが難しい」と打ち明けられたという。話を聞く際に匿名を求められたことにも驚かされ、ジャーナリストの独立性が確保されていないと感じたようだ。

 高市総務相が停波の可能性に言及したり、自民党の若手議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくすのが一番」との発言があったり、安倍首相が特定の紙面で改憲をめぐる考え方を披露するなど、言論と表現の自由への「圧力」や「歪み」を感じさせるシーンが、いまの安倍内閣には多分に見受けられる。

 加計学園の獣医学部設置問題では、政府の対応を厳しく批判した前文部科学事務次官について、読売新聞が現職時代に出会い系バーに通っていたことを報じた。加計問題の"本質"から逸脱した記事がこのタイミングで掲載されたことに違和感を覚えたのは筆者だけではあるまい。もし政府が前次官のマイナスイメージを植え付ける狙いで読売新聞にリークしていたとしたら「政府とメディアの癒着」と断罪するほかない。

 5月には世界各国の「プライバシーの権利」に関する調査を行う国連人権理事会のジョセフ・カナタチ特別報告者から、共謀罪法案をめぐり「プライバシーや表現の自由を制約する恐れがある」と指摘された。国際NGOの「国境なき記者団」が発表した2017年度の「報道の自由度ランキング」では、日本が世界72位と極めて低かったことも話題になったが、その要因はメディアに対する政府の圧力とメディア自身の自己検閲とされている。

 海外から寄せられる低評価の背景に、一強他弱の政治状況があることは間違いあるまい。さらに問題なのは、一強の中に安倍首相に対抗できる勢力が存在しないことだ。それが一強の中の一強を生み、メディアも反論できなくなり、言論と報道の自由はますます下がっていく、と。いまの安倍内閣には「おごりが終わりの始まりを招く」と説いたところで、一切耳に入らないのだろう。

(佐藤)

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