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政経東北速報解説版 毎月2回(1・15日)発行
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「都民ファースト」への違和感(2017年 8月号)

 7月2日投開票の東京都議会議員選挙で、自民党が歴史的惨敗を喫し、小池百合子都知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」が圧勝した。今後、この流れが国政にも波及するのか、すなわち自民党・安倍政権に「ノー」を突きつける流れが広がるのかが注目されている。

 それはそれとして、筆者は「都民ファースト」というフレーズに強い違和感を覚えた。小池知事は昨夏の都知事選でも「都民ファースト」を掲げて当選した。さらに自身の目指す都政を実現するため、地域政党「都民ファーストの会」を立ち上げ、今回の都議会議員選挙で都議会第一党となり、脇を固めることに成功した。今後は、名称の通り「都民ファースト」、すなわち都民を最優先に考えて政治活動を展開していくという。

 これと似たような話で、県内の首長、あるいは首長になろうとする人(選挙の立候補者)を取材すると、「村民に寄り添った村政を目指す」、「町民目線のまちづくりを進める」などといった公約・目標を語られることがある。

 ただ、国政は国民のため、都政は都民のため、市町村政は当該市町村民のため――に政治・行政を行い、それを最優先に考えるのは当たり前ことだ。

 日本国憲法の前文にも《国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する》とあり、当然これは国政だけでなく、地方行政にも当てはまる。

 例えば、首長は「地方自治法に倣って行政を進める」とか「議会の議決を得てから予算を執行する」などとは言わない。もし、そんなことを言えば、「そんな当たり前のことを言うなんて、あの人は大丈夫か」と思われるに違いない。

 ところが、「地方自治法に倣って行政を進めること」や「議会の議決を得てから予算を執行すること」以上に当たり前でなければならないはずの「住民を最優先に考えた行政」は声高に言われているのだ。

 これは、逆に言うと、当たり前のことが当たり前にできていない、すなわちいまの政治・行政は住民最優先でない裏返しでもあろう。だからこそ、あえて「都民ファースト」や「村民に寄り添った村政」、「町民目線のまちづくり」などということを強調しなければならないのだ。

 本来、政治・行政は国民の福利のためにあるものだが、実態はそうなっていない――それがいまの政治・行政の姿なのである。

(末永)

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